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ボランティアインタビュー

World Football Shipの共同設立者・山田裕太郎さんへのインタビュー

こんにちは!JAVOメディアでインタビュー記事を担当している南條です。

今回は、「特定非営利活動法人 World Football Ship」の創設者である山田裕太郎さんにインタビューをしました!山田さんは私の大切な友人でもあり、この団体でも多くのバリューを発揮して大活躍だと聞いています。団体の立ち上げ背景から、山田さん自身の思いをお聞きしました。

# サッカーから無限の可能性を

  (写真一番左上のメガネをかけた男性が山田さんです)

 

ー南條:まずはじめに、活動内容について教えてくださいますか?

ー山田:World Football Ship (以下、WFS) は、2021年にNPO法人として発足しました。 「恵まれない環境に置かれた子供たち」に対して「サッカーのできる環境と適切な指導」を「各分野のプロフェッショナル」を通して無償で提供する団体です。「人々の可能性を広げる場を創り続ける」​​というミッションを掲げています。

具体的には、スクールに通えなかったり、身近にサッカーを行える環境がなかったりする子供達へ支援活動です。プロを目指す場合は質の高い練習環境が必要です。そこで私達が、サッカーボールの提供やゴールネットやフィールドの整備、そしてトレーニングメニューの提供などを行なっています。プロの選手や理学療法士も協力してくれて、本当に有難いです。恵まれない環境においても、プロサッカー選手になる機会を生み出せるようにし、将来的にはプロサッカークラブを作りたいとも考えています。

ー南條: 素晴らしい活動ですね。この活動を始めたきっかけは何でしょうか。

ー山田:代表が絡んできますので、背景が複雑になります(笑) まずは、代表の話から。私と代表である石塚は、元々小中学校が同じでした。彼の家庭は、日本の中では貧しい環境にあり、カンボジアの子供達と重なる部分があったと聞いています。しかし、小学4年生で始めたサッカーをきっかけに、サッカーで自分の可能性を広げていき、高校や大学に進学することも出来たそうです。そして、大学2年の時にカンボジアへ渡航し、現地の様子と自分の境遇を重ね、この子達に何かしたいという想いがこの活動のきっかけになったと聞きました

次に、私の背景になります。私自身、中学生の時から、貧しい子供達が世界中にいるということに関心がありました。一方で、なぜ恵まれた環境にいる人が努力せず、恵まれない人がそもそも努力できる環境が整っていないのだろうと感じていました。きっと、恵まれない子達の環境が整ったら、その子達の熱量やパフォーマンスは物凄く高いのではないか、と。大学に入り、実際にカンボジアの現場を訪れて、恵まれない子供たちに何かをしたいという想いが強まりました。

代表と私は、動機は違うものの目標や意志の面では重なる部分が多く、現在活動を共にする仲間になりました。

ー南條:強烈な原体験をした代表と、山田さんの想いが一致したんですね!では、サッカーに注目した理由と、カンボジアを活動拠点にされたのはなぜでしょうか?

ー 山田:まずはじめに、カンボジアを選んだ理由から。単純に、カンボジアの現状を目の当たりにしたからです。子供たちが裸足でサッカーをしていたり、クラブチームのコート周りで゙羨ましそうに見ている子供達が沢山いたりしました。そういった子供達に、ちゃんとしたサッカー環境を届けたいと思ったことがきっかけです。ですから、カンボジアが活動拠点になったのも偶然です。

サッカーにここまで拘る理由は、主に3つあります。

1つ目は、誰でも簡単に始められるからです。勿論、ゴールや物資があるに越したことはありませんが、ボール1つ始めることができ、かつ可能性も多く秘めていると思っています。2つ目は、チームスポーツでありネットワークが広がることです。ネットワークを広げることは、自分の可能性を広げる意味でとても重要なことだと考えています。 最後に、様々な素養が身につくことです。例えば、パス1本にしろ相手への思いやりが必要だったり、ゴールにたどり着くまでの戦術を考えたり。人生で捉えた時、ゴールへの目標達成とアプローチの仕方を考えることと、物凄く似ていると思います。また、普段の生活に活かせることも沢山あり、サッカーから学べることは多いと思います。

#実際に活動をして感じたこと

  (カンボジア、サッカーをする子供達)

ー南條:活動を始める前と後で変わったことはありましたか?

ー山田:子供たちがプロの選手と触れられることで、練習への姿勢が変わったと思います。それまで、カンボジアの子供達は、コーチの指示に忠実に従わなかったり、人の話をしっかりと聞かなかったりする傾向にありました。忠実に従うことが必ずしもいいとは限らないのですが、せっかく指導しているのに勿体無いのかなと。それが、真剣な眼差しで話を聞くようになり、地味な練習にも真摯に取り組むようになったと思います。自分がプロサッカー選手になるロードマップが、子供達自身も見えてきたからこそ、行動が変化したんじゃないかと思います。

ー南條:行動の変化も感じられてやりがい感じますね!言語が違う中、どうやって意思疎通しているのでしょうか。

ー山田:クメール語が第一言語ですが、英語や日本語を話せる人もいます。英語を理解できる子供達もいるので、その子達がクメール語に訳して周りに教えてあげることもあります。ただ、やはりクメール語が中心となるので、クメール語と日本語を話せる通訳の方と一緒に活動しています。

ー南條:言語の壁は大きいですよね。活動をしていて1番困難だったことは何でしょうか。

ー山田:大きく3つあります。1つ目は、まさに言語の壁です(笑)。英語なら何とかなりそうですが、゙クメール語を話す人口自体少なく難しいです。現地の人とのコミュニケーションや、実際に契約を結んでいくのも難易度が高いことだと痛感しています。

2つ目は、コロナウイルスの状況によって、活動が左右されることです。子供達が練習に行くのを家族に止められたり、コーチも練習の判断に困ったりしますね。これは自分達が防げることでないので、コントロールできなくて難しいです。

3つ目は、文化が全く違うことです。例えば、カンボジアは小学校・中学校合わせて10年制になっており、午前・午後の二部制が基本です。そうなると、子供達の年齢や学習環境によって、練習の時間が合わせにくくなってしまいます。それらを考慮して練習を組まないと、偏りが出てしまいます。

ー南條:言語と文化の問題に対しては、どのように乗り越えていますか?

ー山田:言語に関しては、現地の日本語学校に協力して頂いています。私達の活動に共感してくれたため、生徒や先生方が活動に参加し、日本語からクメール語に訳してもらっています。その代わり、私達も日本語学校の授業に協力して、お互い助け合っています。文化に関しては、練習の回数を増やして、極力練習に参加できるように調整しています。


# 尋常じゃない巻き込み力  

 (現地スポーツメーカーから賛同してもらった様子)

ー南條:印象に残っている出来事はありますか?嬉しいことでも、驚いたことでも。

ー山田: 印象に残っていることが多すぎて、選ぶのが難しいです(笑) その中でも、子供達が予想以上にサッカーが上手いことは驚きでした。お金さえあれは、゙プロのアカデミーに入れそうな子がいくらでもいるほどです。 フリースクールを開けば毎回来てくれるほど、サッカーが大好きで、熱意も強いんだなと感じています。彼らが、笑顔で楽しそうにサッカーしているのを見ると、胸が熱くなります。 

また、最近だと、私達の活動に賛同してくれる人が本当に多くて嬉しいです。この前はカンボジアのスポーツメーカーで、子供達にユニフォームを作ってあげたいことを伝えると、20万円程度の物資を無料で提供してくれたんです。また、オリジナルユニフォームも制作しようという話も進んでいます。カンボジア国内でも、子供達に何かしたいという想いがあることを知れました。

ー南條:巻き込み力が本当にすごいですね。ゼロからのスタートで、プロフェッショナルな方や協力者をどうやって巻き込んでいったのでしょうか。

ー山田:共同設立した3人の中に、プロサッカー選手の方がいます。その繋がりから、プロ選手に協力していただいています。加えて、私の地元からプロになった仲間にも声をかけ、協力を仰ぎました。また、個人的な考えですが「恵まれない環境の子供たちを助ける」というコンセプトが、巻き込む力になっていると思います。誰にとっても共感できる内容で、一定の賛同が得られるのではないかと感じています。私たちの事業は株主相手の事業でもなく、利益追求でもない、ビジョン・ミッション追及の活動なので、純粋な気持ちで応援してくれるんだと思います。

ー南條:なるほど。私も聞いているだけで、熱い想いに心動かされています(笑)

ー十川:因みに、カンボジア以外なら、どこの国に行きたいですか?

ー山田:この活動のモデルや体制が整えば、゙全世界の子供たちを助けられると思っています。偶然カンボジアだったというだけで、将来的には同じような境遇にある全ての子供達を支援したいです。まずは、カンボジアの周辺地域からですね。ミャンマーとラオスは、東南アジアでも貧困層の子供達が多いので゙、次はその辺りに進出できればと思います。

# サッカーから見える魅力・幸せのあり方とは

 (メンバーでのオンラインミーティング)

ー南條:ズバリ、魅力ややりがいは何でしょうか?

ー山田:魅力は、サッカーというスポーツから、無限の可能性が広がることだと思います。サッカー選手を目指すことはもちろん、繋がったスポンサー企業1つにとっても、子供達の就職先になる可能性すら秘めています。繋がりを大切にし、多くのチャンスを作っていきたいですね。また、チャンスを平等に与えられる社会を作り出すことに、やりがいを感じます。貧困層で限られた選択肢しかなかった子供達が、環境さえ揃えばチャンスを得られる!と実感したいです。

あと、子供たちの笑顔ってやっぱりいいなって思います。楽しそうにボールを蹴ったり大会で優勝して喜んだりしている姿を見ると、この活動をして良かったなと感じますね!

ー南條:日本だと経験できないような感情も抱くのではないかと思います。そんな中、「幸せ」とは何だと思いますか?山田さんなりの答えで!

ー山田:まず、幸せとは捉え方であって、深堀はしていません(笑) ただ、金銭的な不自由と幸せはイコールではないと思います。貧しい地域の彼らを見ても、決して不幸だとは感じませんし、逆に日本人の求める幸せに疑問を抱くこともあります。私達は、彼らが幸せじゃないから活動するのではなく、チャンスを平等に提供するために活動しているので、そこは大事にしていきたい考えです。

そして、私達の活動は国際支援と捉えていません。従来の国際支援は一方通行になっていることが多く、先進国の自己満足になりがちです。私達はそういった国際支援ではなく、縁を繋げ、広げていきたいと考えています。支援の先に生まれる縁を作り、生活を支えたいと思います。自分達が学ぶことも沢山あるし、双方にとって良い関係が生まれるのが理想です。

ー南條:山田さんの考えは上下関係がなく、理想的な支援のあり方ですね!今後チャレンジしてみたいことやゴールはありますか?

ー山田: 当面の目標は、主に2つです。1つ目は、この団体のスクールからプロ選手を輩出すること。2つ目は、プロクラブに匹敵する選手を育て、プロクラブを作ることです。これらを達成することで、スクールに入るメリットと、貧しい状況でも自分の夢を叶えていけるということが明確化されると思います。子供達も努力するモチベーションができ、目標に向かって練習できるのではないかと。加えて、環境を整備することも頑張りたいです。環境を整備するために、コート、物資、指導者、金銭面を支えてくれる安定した提供元とネットワークを作ることが大切だと思います。これをWFSフットボール経済圏と呼んでいますが、実現させていくことが団体の役割だと思っています。

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