ファストファッションの裏側を知る 〜安さの代償と私たちにできること〜

こんにちは!JAVOメディアライターの沼田です。
この記事では、ファストファッションの手軽で安く買えるというメリットの裏にある問題を考えていきたいと思います。
はじめに
皆さんは「ファストファッション」という言葉を耳にしたことはありますか?
ファストファッションとは、安価でトレンドを取り入れた衣服を、短期間で大量に生産・販売するファッションのことを指します。GU、ユニクロ、ZARA、SHEINなどのブランドが代表的ですね。流行に敏感な若者にとって、これらのブランドは手に取りやすく、おしゃれを楽しむ手段の一つとして広く親しまれています。
しかし、その“安さ”や“手軽さ”の裏には、私たちが見過ごしてはならない大きな問題が潜んでいます。ただ「安いから」「可愛いから」では済まされない現実があることを、今回は一緒に考えていきたいと思います。
ファストファッションの問題点
① 劣悪な労働環境
2013年、バングラデシュで「ラナ・プラザ崩壊事故」という悲惨な事件が起きました。この建物には複数の縫製工場が入っており、約5000人の労働者が働いていました。実は事故の前日、建物の壁に亀裂が見つかっていたにもかかわらず、経営者は労働者に出勤を命じました。そして翌日、建物は突然崩壊し、1100人以上が亡くなる大惨事となったのです。
この事故は、ファストファッションを支える現場の過酷さを世界に知らしめるきっかけとなりました。発展途上国では、安全対策の不備、低賃金、長時間労働が当たり前とされ、時には小さな子どもたちまでもが労働力として使われています。
国際労働機関(ILO)によると、世界中で約1億6000万人もの子どもたちが児童労働に従事しており、その半数以上が5〜11歳という年齢層です。教育の機会すら与えられず、危険な作業を強いられている子どもたちの存在に、私たちはもっと目を向ける必要があります。
② 環境への深刻な影響
ファストファッションは「買いやすい」反面、「すぐ捨てられる」ものでもあります。その結果、大量の衣類が毎日のように廃棄されており、服のごみは世界中で深刻な問題となっています。
さらに、衣類を作る過程でも大量の資源が消費されています。例えば、1枚のTシャツを作るのに使われる水の量は、なんと約2700リットル。これは1人が3年間飲み続ける水の量に相当します。
また、染色工程では化学物質を大量に使用し、それが処理されずに川へ流されることで水質汚染が深刻化しています。ファッション産業は、石油産業に次いで2番目に環境負荷の高い産業とも言われており、私たちの“無意識な消費”が地球環境をさらに悪化させているのです。
ファストファッションの課題とは
ファストファッションが抱える問題は、決して遠い国の話ではありません。私たち一人ひとりの「買う」という行動が、この構造を支えているのです。
「安いし、可愛いから買おう」と手に取る前に、「なぜこんなに安いのか?」と一度立ち止まって考えることが大切です。服の向こうには、劣悪な環境で働く人々の存在や、壊れていく自然環境があるという事実を忘れてはいけません。
そして、たとえ一人の力では大きなことはできなくても、小さな選択の積み重ねが社会全体を変える大きな力になるということも、私たちは知っておくべきです。
企業による改善の取り組み
すべての企業が問題を放置しているわけではありません。近年では、サステナビリティ(持続可能性)に配慮した製品づくりや、人権に配慮した労働環境を整える企業も増えてきました。
● ユニクロ(ファーストリテイリング)
- 再生ポリエステルやオーガニックコットンなど環境にやさしい素材を使用した商品を展開
- 不要になった服を回収・再利用する「RE.UNIQLO」プロジェクトを実施
- 取引先工場の監査や労働環境の改善に取り組み、透明性のある情報を公開
● パタゴニア(アメリカ)
- 製品の多くにリサイクル素材やフェアトレード認証を採用
- 着古した服を修理・再販する「Worn Wear」プログラムの運営
- 労働者の待遇や環境面にも厳格な基準を設けており、責任ある製造を徹底
これらの企業のように、「作る側」もサステナブルであるべきだという意識が、少しずつ広がっているのは希望です。
私たちにできること
では、私たち消費者にできることは何でしょうか?
答えは、「ちょっとした意識と行動の変化」にあります。
① サステナブルなブランドを選ぶ
フェアトレード認証やオーガニック素材を使ったブランドを選ぶことは、少しの出費で大きな応援になります。「安さ」より「価値」を選ぶ目を養いましょう。
② 服を大切に長く着る
安いからといってすぐに買い換えるのではなく、必要なものを選び、大事に長く使う。そうすることで廃棄物も減り、環境への負荷も軽くなります。
③ リユース・リサイクルを活用する
もう着なくなった服を捨てずに、リサイクルや寄付、古着屋での販売などに活用するのも立派な行動の一つ。最近はフリマアプリも充実しており、気軽に取り組むことができます。
まとめ
ファストファッションは、私たちの生活に深く根付いています。おしゃれを楽しむことは悪いことではありません。でも、その裏にある現実から目をそらしてはいけないと思うのです。
私たちが日常の中で「何を買うか」「どう使うか」を意識するだけで、少しずつ世界を変えることができます。自分の選択が、誰かを苦しめるものなのか、それとも支えるものなのか。そんな視点を持つことが、未来への大きな一歩になるのではないでしょうか。
サステナブルな社会の実現には、企業だけでなく、私たち一人ひとりの意識と行動が欠かせません。今日から、できることから、少しずつ始めてみませか?
ボランティア証明書の発行はコチラ【ボランティア証明書発行(全NPO対応) | NPO法人JAPANボランティア協会 (javo.or.jp)】
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/roundtable/climatechange/ https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/report/2021/planet/ https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/planet/products/material/recycle/
https://www.patagonia.jp/wornwear/trade-it-in/
https://www.patagonia.jp/worn-wear/
この記事へのコメントはありません。