子ども食堂に行ってみよう!~あなたの勇気が、誰かの笑顔につながる~

こんにちは!JAVOメディアライターの田口です。
今回は近日注目を集めている「子ども食堂」について話していこうと思います。私が実際子ども食堂のボランティアに参加して思ったことや、周囲の人に聞いた話を交えて、「子ども食堂とは何か」「子ども食堂が抱える問題」「子ども食堂のためにできること」というこの3つについて紹介していきたいと思います。
目次
1.子ども食堂って何?
ところで、皆さん子ども食堂についてどのくらい知っていますか?最近CMでも流れてきますよね。「子ども食堂」という言葉は知っていても、詳しくは知らない。という人も多いのではないでしょうか。
子ども食堂とは2012年に東京都大田区のある八百屋さんの「みんなが十分にご飯を食べられるような環境を作りたい」という思いで始まった取り組みです。現在では、この活動は全国に広がり、地域の子どもたちや高齢者、ひとり親家庭など様々な人たちの「居場所」という役割を果たしています。
厚生労働省は、これを「地域住民等による民間初の取り組みとして無料または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供すること」と定義しています。
子ども食堂の取り組み
子ども食堂の取り組みには、主に下記の3つがあります。
・定期的な食事提供(フードパントリーや食堂のように実際に料理を提供する)
・学び場や遊び場の提供(学習支援・宿題サポートなど)
・保護者や高齢者への支援
これらの目的は「孤食解消」「子どもの貧困対策」「虐待やネグレクトの早期発見、支援」「地域コミュニティの形成」「居場所づくり」など団体によって様々です。
例えば、私がボランティアで関わらせていただいている子ども食堂では、食への関心やマナーを育む「食育」を実施しています。また、子育てに悩む親御さんの先輩ママへの相談場所やママ友との交流の場にもなっています。さらに、一人暮らしの高齢者の方がほかの利用者さんと交流したり、おろそかになりがちな食事の支援を行う場所にもなっています。
最近では、食事提供だけでなく「フードパントリー」として食材や生活用品を配る活動や学習支援として宿題のサポート、本・学習教材の提供などを行っている団体もあります。こうした多様な支援のかたちは、地域に根ざした「福祉の入り口」として注目されています。
2.子ども食堂が抱える課題
しかし、子ども食堂にはさまざまな課題が存在しています。
①運営側の課題
運営側の課題として、「子ども食堂をやってみたい」という人がいても、施設確保が難しいこと、資金不足、人手不足の3つがあげられます。
・施設の確保が難しい
大人数の食事の調理が可能なスペースや大人数が入る開催スペースが不足しています。
・資金不足
市区町村によっては、子ども食堂への助成金制度があります。例えば、東京都では実施頻度や参加者数、安全対策などの一定条件を満たした場合補助金が支給されます。東京都で最も子ども食堂が多い世田谷区では、運営助成金や場所、人材、保険の支援や研修会の実施など様々な支援を行っています。このように市区町村からの支援がある地域は、子ども食堂を始めやすく、数が増加傾向にあります。しかし、それでも補助金の域を金額が超えてしまった場合、その赤字をだれが負担するのかというのが問題になっています。現在、子ども食堂の運営団体は、ボランティアなどの任意団体や市民活動が最も高い割合を占めています。そのため、赤字をかぶってくれる企業がないことが、結果として、十分な支援ができないということにもつながります。
・人手不足
子ども食堂運営スタッフの多くはボランティアで成り立っています。そのため、継続的に活動してくれる人材の確保が困難です。また、私が関わらせていただいている子ども食堂の運営者の方の話によると、近年では、保育園などの学習施設を子ども食堂施設として用いることが増えているそうです。保育園は、公民館などの施設に比べ調理室が広く、施設も整っていますが、保育園は公民館などとは違い、検便を行うなど、一定の条件を満たしたものしか調理室に入ることができないそうです。したがって、調理師不足も問題になっています。また、保育園などでは、人が集まりにくく、保育士が子ども食堂を行っているケースも少なくないそうです。
このような人手不足は、回転率を下げ、支援を十分に行えないだけでなく、スタッフの負担が大きくなり、リピーター数が伸び悩むことにもつながります。
②利用者側の課題
利用者側の課題として挙がるのは、まず、子ども食堂への認知度の低さです。私が知人10名ほどに簡易的なアンケートをとった結果、ほとんどの人が子ども食堂という単語は知っていました。しかし、実際に何を行っているのか、どんな人が利用しているのかについての認知度はかなり低かったです。なので、利用してみたいかという問いに対しては、「いいえ」という回答が多かったです。確かに、「ご飯を作らなくていいのなら楽」、「興味がある」という意見もありましたが、「なじみがないので行きにくい」、「詳しく知らないから怖い」などという意見もありました。特に、利用してみようと思わないという人の意見には「別に困ってないから」「必要ないから」「対象じゃない」という意見が多かったです。
また、子ども食堂へのイメージを聞くと、「あたたかい、アットホームな感じ」、「やさしい」などの意見に対して「居場所やごはんが十分にない子が行くところ」、「貧困」という回答が目立ちました。
利用者の年齢層のイメージに関しては、小中学生が最も多く、60歳以上が最も少ないという意見が多かったです。
しかし、このイメージは実際とは少し異なります。例えば福岡市では、高齢者受け入れを促進しています。また、子ども食堂は「みんなの居場所」としている団体も多く存在します。「対象でない」というのは、年齢なのか、家庭状況をさしているのか定かではありませんが、多くの子ども食堂では、幅広い年齢層の受け入れを行っていますし、本当に支援が必要な方以外の受け入れも行っています。
むしろ、貧困でない家庭が多く子ども食堂を利用することが子ども食堂の特別感をなくし、貧困家庭でも利用しやすくなります。子ども食堂を利用することが、本当に支援が必要な方に手を差し伸べ、差し伸べた手を握ろうとする背中を押すことにもつながるのです。
このように、実際の子ども食堂と人が持っている子ども食堂のイメージには大きな違いがあり、子ども食堂をよく知らないことが子ども食堂の利用者が少なく、本当に支援が必要な家庭に支援が届きにくくなっている原因の1つです。
3.私たちにできること
そこで私たちにできることを4つ考えました。
①子ども食堂についてよく知り、人に伝える
まずは、正しい情報を知ることが大切です。「困っている人のため」ではなく、「みんなのための場所」ということを広めましょう。そうすることで、子ども食堂をよく知らないことで発生する「貧困家庭だけのため」「かわいそうな子が行く場所」という間違ったイメージを取り除くことにつながります。また、「困っていない自分は利用対象でない」「人の食事を奪ってしまう」という考えを取り除くことができ、子ども食堂利用者の幅が広まり、より行きやすい場所、「みんなの居場所」に近づくのではないかと考えます。知らない場所に行くのは誰でも怖いです。それが、マイナスなイメージだと利用しづらくなる、行くのが恥ずかしいというのは当たり前です。誤解や偏見がなくなれば、利用者のハードルも自然と下がります。
②実際に利用してみる
子ども食堂について知っていても、利用してみるまでは「特別感」というのは取り除けないのではないかと考えます。やはり、「居場所がない人に居場所を提供する」「十分に食事がとれない人の食事をサポートする」というのが本来の目的であることに違いはありません。したがって、このイメージはどうしてもついて回ります。そこで、ぜひ皆さんに実際に子ども食堂を利用してもらいたいのです。利用者相が多様化することで、「子ども食堂=特別な場所」という印象が薄れます。普段の生活の延長線上にある場所だと思って気軽に利用してみてください。
③フィードバックを送る
子ども食堂を運営する側はどうしても偏った思考になりがちです。改善して、より過ごしやすい場所、通いやすい場所になるには利用者さんからの「もっとこうしてほしい」「ここがよかった」という声は非常に貴重です。より広い視野で、利用者さんとともに子ども食堂を作っていくことで、より温かく、居心地の良い場所になります。
④子ども食堂にボランティア参加や食料・資金の寄付活動で参加する
先に述べた通り、子ども食堂の大半は任意団体が運営しており、多くの課題が残っています。運営を続けるにはどうしても人材と資金、食料が必要です。これらが不足している今、子ども食堂を開きたくても開けない、開催頻度を上げたくてもあげられないというのが現実です。時間に余裕があれば現地でお手伝い、難しければ寄付や食料提供などかかわり方は人それぞれです。
小さな行動でもそれが積み重なれば大きな支えとなります。
4.まとめ
子ども食堂とは地域の方のために無料または低価格で食事を提供したり、学習支援を行ったりする場所や活動のことです。しかし現在、ボランティア団体などの任意団体が多く、企業からの支援がないため、資金不足や場所不足など多くの課題の壁に直面しています。また、利用者側にも「かわいそうな子」などのマイナスなイメージが残っていることから本当に支援が必要な子が利用しづらいという課題があります。
そこで、私たちにできることは、子ども食堂について知り、伝えることや子ども食堂を利用したり、ボランティアに参加したりすることで子ども食堂への偏見や敷居を低くすることです。子ども食堂を多くの人が利用し、「特別感をなくすこと」が本当に支援が必要な方に支援を届けるために必要なことです。皆さん、一緒に子ども食堂に行ってみませんか?
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参考文献
・福岡市子どもの食と居場所づくり支援事業補助金交付要綱
R7shoku-to-ibasho-hojokin-youko.pdf
・子ども食堂について 福岡県庁ホームページ
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kodomosyokudou-cf.html
・子ども食堂について むすびえ
https://musubie.org/kodomosyokudo/
・都道府県別箇所数・充足率(校区実施率)等一覧
https://musubie.org/wp/wp-content/uploads/2024/12/Shiryou_2_Todofukenbetsu_20241211.pdf
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