持続可能な未来へ:ドイツSDGsと現代社会の挑戦
はじめまして!JAVOメディアライターの永井です。今回は、Benz(ベンツ)やBMWなどを生産している、クルマ大国“ドイツ”のSDGsに関する取り組みについて紹介していこうと思います。
1.はじめに
SDGsと聞いて人々がすぐに思い浮かべやすい目標は、「目標1;貧困をなくそう」や「目標13;気候変動に具体的な対策を」等ではないだろうか。これらは多くのメディアや教育、企業のCSR活動などでもよく取り上げられるため、一般の認知度が高い。更には世界的にも共感を得やすい問題であり、多くの人に理解しやすいテーマである。今回は、「目標13;気候変動に具体的な対策を」について、特に示唆されている“自動車のCO₂排出量削減課題“を中心に据えて見ていこうと思う。そこで、クルマ大国として世界から認知されているドイツという国に焦点を当て、ドイツがSDGs(今回は特に「目標13;気候変動に具体的な対策を」)をどのように取り組んでいるのか、現代社会が直面している課題に触れながら考えていく。
2.ドイツの取り組み
ドイツ政府は過去に2023年までに温室効果ガスの排出量を1990年比でなくとも55%削減する目標を掲げており、長期目標として2050年までに気候中立(温室効果ガスゼロ)を目指している。削減目標はさらに、エネルギー業界、建造物、交通、製造業、農業の5分野に分けて定めている。
クルマ大国といわれるだけあって、自動車の歴史は1886年に世界初のガソリン車ベンツが登場して以来、1908年の量産T型フォード(ガソリン車)が性能やコスト、利便性で他を淘汰してきた。しかし、このような自動車は温室効果ガスを多量に排出し、現在でも進行している地球温暖化に寄与している。21世紀において、私たちは地球温暖化に代表される「環境問題」、原油の高騰に見られる「エネルギー問題」、およびレアメタル・水・食糧などの「資源問題」の三つの課題に直面している。
つまり、持続可能な社会における、私たちと自動車の最大の課題はCO₂削減であり、21世紀半ばに枯渇が懸念される石油からの脱却、脱石油に向けた取り組みである。そこで現在、ドイツ連邦環境庁はハイデルベルクエネルギー環境研究所に委託して実施した代替駆動や代替燃料を利用する自動車が環境に与える影響調査の結果を公表した。これによると、2020年に登録された電気自動車はガソリンエンジン搭載車よりもおおよそ40%、気候に配慮していることが裏付けられた。再生可能電力の急速な拡大によりこの数字は2030年に登録される自動車ではおおよそ50%までにもなると予想されている。この調査は2020年、2030年、2050年の登録車両を対象に、温室効果ガスに加えエネルギー、資源、水の消費量、大気や水、土壌への汚染物質の排出量が分析され、車両の使用による直接的な環境影響に加えて生産過程や動力用燃料の生産や発電設備建設による環境への影響も分析された。
3.統計的にみると…
このようにドイツ政府は自動車産業の変革なくして、気候変動は止められないとかんがえているようだ。そしてここ最近、やはりまだ環境保護や気候変動対策がますます重要視される中、EUが定める自動車のCO2排出規制は現在、ドイツの自動車産業が直面する大きな課題の1つとなっている。欧州委員会、欧州議会およびEU理事会は2018年12月17日、域内で販売する新車のCO2排出量削減割合について、2030年までに2021年比で乗用車については37.5%(中間目標:2025年までに15%)、バンについては31%(中間目標:2025年までに15%)とすることで合意した。欧州委の原案では2021年時点の水準との比較で、2030年までに30%(中間目標:2025年までに15%)とする目標だったが、欧州議会が2018年10月3日の本会議で削減幅を拡大し、2030年までに40%(中間目標:2025年までに20%)とするよう法案の修正を主張。さらにその後開催されたEU環境相理事会では、乗用車については2030年までに35%(中間目標:2025年までに15%)、バンについては2030年までに30%(2025年までに15%)で合意されたが、最終的な判断は欧州委、欧州議会、EU理事会の調整に委ねられていた。12月17日の合意内容に対し、マッテス氏は、「世界でも最も厳しい目標値であり、欧州の自動車産業への負担は多大なものになる」と批判している。
同目標の達成には、欧州全土におけるEVのさらなる普及が不可欠である一方、今後の普及度合いは、電池のコストやエネルギー価格、公共調達の動向など、さまざまな要因に左右される。その中でも、充電インフラの整備は重要な課題であり、マッテス氏は現在、EUにある充電スタンドの4分の3が英国、ドイツ、フランス、オランダの4カ国に集中しており、他のEU諸国は、充電インフラの拡充を行う必要がある、と指摘している。さらに、ドイツ国内の充電インフラについては、現時点で1万3,500カ所に公共充電スタンド(うち急速充電スタンドは900カ所)が設立されているものの、同氏は「さらなる拡充が必要」とする。また、個人や民間企業の充電スタンドについても、導入促進のため、建物や不動産の賃貸および所有に関する法規制の改正など抜本的な改革の必要性を指摘した。
また、ドイツ連邦政府によるEVへの購入支援策「環境ボーナス(Umwelt bonus)」は2019年6月が期限となっているものの、予算にまだ余剰があることから、「支援期間を延長すべき」としている。
4.ドイツの取り組み まとめ
このように、ドイツは主に自動車などに関する具体的な対策に取り組んでいる。さらにこの取り組みのおかげか現状でSDGs上位国にある。このような国の特徴として経済力が高く、環境先進国、特に大きい特徴として『SDGsの達成状況を可視化』できているという点が挙げられる。また、この記事で取り上げてきたドイツの脱炭素への取り組みについて大まかにまとめると、気候を保護するために、環境に悪影響を及ぼす温室効果ガスを削減し,環境負荷の少ない再生可能エネルギーの導入を目指す脱炭素社会への取り組みをしている。ドイツでは自然エネルギーの割合を2030年までに65%にするという目標には着実に近づいている。具体的な政策として例えば、自動車業界における電気自動車(EV)や合成燃料、水素燃料を利用した水素車などが挙げられる。また、ドイツ政府は2020年に『国家水素戦略』を発表し、グリーン水素が持続可能なエネルギーであると述べ、グリーン水素の活用が脱炭素達成の主要な柱になると考えている。
5.われわれ日本は…
こういったSDGsに向けた現代社会での挑戦が進められている。ドイツもそうだが我々もグリーンエコノミーの推進や持続可能な消費と生産の促進を円滑に取り組んでいくには国際協力とパートナーシップの強化も重要であるのだ。地球規模の課題には他国と協力していく必要がある。ドイツは様々な政策やプログラムを導入し、持続可能な未来の実現に向け努力を続けている。
前にも述べたとおりドイツ連邦政府ははじめに「国家持続可能戦略」を策定し、その後の取り組むべき目標を明確にしている。コロナウイルスの拡大が懸念された際もその都度内容を更新している。今回中心に調べていったことは『気候変動に具体的な対策を』であったが、どのSDGsの対策としても私たち日本はドイツの取り組み方を参考にするべきだろうと思う。更に、ドイツはSDGsが始まる前から環境に配慮した行動を取り入れていたため、多くの企業、国民が取り組みに積極的に参加している。
6.さいごに
SDGsは日々の小さな行動から始めることができる。「私一人が環境に配慮しても…」などと考えることはせず、リサイクルやエネルギーの節約、地域のボランティア活動など私たち一人一人の意識と行動が持続可能な社会の実現へとつながるだろう。
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<参考文献>
・SDGs上位国ドイツとは?/ドイツのSDGs取り組みと事例も紹介!達成度ランキングは6位 – arato-inc.co.jp(参照2024‐01‐13)
・ドイツのSDGsや気候変動対策への取り組み/21_a_02.pdf (japio.or.jp)(参照2024‐01‐13)
・ドイツのSDGsは日本と何が違うのか/ドイツのSDGsは日本と何が違うのか? | インターローカルジャーナル (interlocal.org) (参照2024‐01‐13)
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