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ボランティア団体のご寄稿

広町緑地の豊かな自然を、自分たちで守り、次につなげる

「鎌倉広町緑地」のポスター

1.活動内容・団体の目的

鎌倉市が三大緑地として指定したなかでも最大規模(約48ヘクタール)の広町緑地。

僕たち「鎌倉広町の森市民の会」(以下、市民の会)は認定NPO法人として、この広大な緑地の維持管理に携わっています。

広町緑地は多様な自然環境の中に多くの動植物が存在することが特長です。

貴重種や注目種としては、

オオタカ、フクロウ、シュレーゲルアオガエル、モリアオガエル、ホトケドジョウ、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ハンゲショウ

タコノアシなどの動植物があります。

団体のURL:認定特定非営利活動法人 鎌倉広町の森市民の会 | 鎌倉広町の森  (kamakurahiromachi.org)

 

市民の会の活動の目的は広町緑地を守り、次につなげることです。

 

 ①広町緑地を守る

一言で「守る」といっても、いろいろな方法があります。

僕たちの守り方は、いわゆる「里山」という「人の活動と自然の力を拮抗させる」

守り方です。

市民の会のメンバーが中心となった「5つの会」というチームがあります。

そのチーム同士がゆるやかに連携して、この里山保全ボランティア活動をしています。

 

・里山には欠かせない田んぼや畑で農作業を行う「田んぼの会」と「畑の会」

・緑地を楽しむための散策路の整備をする「散策路の会」

・里山に順応した動植物が住みやすい雑木林を一定の状態に保つ「森の会」

・多様な自然環境と動植物を観察し、多様性を維持管理する「自然観察の会」

 

各会の活動はオープンです。

現在、市民の会は会員数が約400名ですが、市民の会の会員かどうかに関わらず、

緑地に遊びにきてくださった人々に声をかけて作業を手伝ってもらうこともあります。

5つの会の写真

 

 ②広町緑地を次につなげる

緑地を守る活動は将来にわたり必要となります。

次の世代の多くがこの広町緑地に興味を持って、一緒になって守りたいと思えるように、

自然体験のイベントを企画し運営しています。

例えば、麦踏み、里芋掘り、藍染め、そば打ち、田植え・稲刈り、植樹祭、

昆虫観察、どんぐり遊び、などなど。

一般の方々の参加も可能ですが、子どもたちには「かまくら緑の探偵団」に入って

もらうことで、さらに子どもやその親の方々が緑地を通じて交流を深めてもらう

機会を提供しています。

最近では「環境学習チーム」が地域の幼稚園や小中学校と連携することで、

教育の一環として広町緑地を利用してもらう活動も推進しています。

 

このような緑地の今を守る活動と、次の世代にそのバトンを受け取ってもらう活動、

がとても大切な両輪だと僕は思っています。

イベントに参加している子供たちの写真        餅つきのイベントに参加している写真

 

2.活動を始めたきっかけ

僕は1970年代生まれですが、その頃にこの活動が始まるきっかけとなる出来事がありました。広町緑地の開発計画に気づいた近隣市民が手探りながらも反対運動を開始したのがルーツです。

 

その時から2000年頃まで、延べ何十万人もの署名を集めたり、鎌倉市への陳情や開発事業者との話し合いを続け、緑地を守ることができたそうです。

僕で言うと反対運動を始めた市民たちは親の世代です。

その世代の方々は今も僕と一緒に市民の会の活動に汗をかいてくださっています。

 

僕が活動を始めたきっかけは、先輩がたの熱い想いを受けとめて、ということではなく、もっとライトな関係から始まっています。

自分の子供を自然で遊ばせたくて近所にあることを知った広町に行き、「かまくら緑の探偵団」に入り、僕自身が田んぼの会の作業に加わりたくなり、快く受け入れてもらって、

そのうち、先輩がたの期待を受けて「ちょっとめんどくさいな」と思いながら市民の会の理事

をするようになりました。

 

今では、広町緑地の歴史だとか今の僕なりに感じる広町の良さだとか、先輩がたのそれぞれの

長い長い昔話を浴びながら、この緑地を守ることと次につなぐことに微力ながらも使命を

感じて活動しています。

稲刈りをしている写真

稲刈りをしている写真

 

3.やりがいや印象的な出来事

僕がやりがいを感じるときは、「緑地の価値を生み出す活動には際限がないと感じたとき」と、「緑地に関わる人同士の交流に触れたとき」です。

僕らはよく「人手不足」という言葉を口にしてそれを課題だと言っていますが、

視点を変えればそれは僕らそれぞれが「何かを求めている」ということだとも言えます。

この緑地には、まだまだ活かしきれていない価値が無数に眠っていて、「それを掘り起こしたい」と思った人が、金銭的には1円の得にもならないのに労を惜しまず活動に加わっています。

なんだかやらずにはいられないからやる。

そういう「何かを求めている」人同士の交流は本当に意義深いものだと感じます。

それぞれが求めている完成図が見えないから、いくら言葉を交わしても足りない。

でも同じ場所で一緒に活動しているから、面白いことが起きる。

 

今年度(2024年度)になって理事になられた大田さんという方が、

この広町に関わることになったきっかけを話してくれました。

とても印象的だったので下記に引用します。

 

<大田さんのエピソード>

—————————–

私が広町に参加するきっかけは、コロナ禍たまたま行った本鵠沼の美容院で、

「こどもと行ける良いところはないか?」尋ねた時、

美容師さんが「鎌倉に自然豊かな公園があり、良く家族で遊びに行った。」と思い出話を交えて、広町緑地のを魅力を教えてもらいました。

 

すぐに長男と遊びに行って、森田さん(※筆者注釈)をはじめ畑の会の皆さんが、

「スイカ食べるか?」と私たち2人を受け入れてくれて、畑活動を手伝わさせていただきました。

 

広町にある豊かな自然、心地よい人間関係を経験し、コロナ禍のギスギスして窮屈だった世の中の価値観を覆され、当時私たちは広町に救われたのだと思います。

 

私が現在も広町に通い続ける理由は、広町の豊かな自然環境はもちろんですが、

広町を好きな人たちとの緩やかな関わり合いに心を満たされていることだと思います。

理事になり、他の会の皆さんとも知り合い感じたことですが、広町を好きな思いを聞くと、

通じ合っている部分を見つけて、嬉しくなる場面が多くあります。

—————————–

※ 森田さんは畑の会の重鎮

 

僕もこの方のように、こういう話を聞くと本当に嬉しくなります。

かつては、開発計画への反対運動による団結力で維持されていた活動でしたが、

世代も変わると、また違った形で活動のモチベーションを形成する必要があります。

このような個々の意義深い交流によって生まれる物語で満たされている広町を、

関わる人それぞれが作っていけるといいな、と思います。

農作業をしているボランティアメンバー

 

4.今後の目標や挑戦したいこと

先にも書いた「何かを求めている」ということでいいますと、僕個人についてはこんなことがしたいです。

 

例えば、広町緑地には竹林があります。毎年どんどん出てくる竹は切ってほとんどがそこに積み上げられていますが、その竹を使って籠や食器を作ることができます。

また、無農薬の田んぼや畑も、もっと草取りを入念にできれば、収穫量は倍以上に増えるかもしれません。

収穫した野菜やお米は年に一度の「収穫祭」というイベントで提供しています。

収穫量が増えれば地域の方々にもっともっと楽しんでもらうことができます。

 

僕は田んぼの会で週一回の作業をしていますが、もっと自分に時間ができたり、

もっと人が集まれば、こんなこともあんなこともできるのに、と常々思っています。

自分の時間はなかなか作ることができないので、やれることは関わる人を増やすこと

あと、そのために市民の会の内側も外側も風通しのよい雰囲気にすること、に挑戦していきたいと思います。

 

5.読まれた方へのメッセージ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

いろいろ書いたのですが、みなさんにとって重要なことが見つかるのは、

結局のところ現場に飛び込んだときだと思います。

まず体験することをお勧めします!

市民の会では、毎月第一日曜日※ボランティア体験・説明会を行っています。緑地でのボランティア活動に興味があるかたのご参加お待ちしています。
※このスケジュールは、2024年現在のもの。今後変更する可能性もあります。

虫の写真

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

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