ゴミが通貨に?未来型ボランティアの可能性

こんにちは!JAVOメディアライターのナラパレッディです。
みなさんは、普段何気なく捨てているゴミが“通貨”になる未来を想像したことがありますか?ゴミと聞くと、「面倒」「役に立たないもの」と思いがち。でも近い将来、ゴミ=価値になる時代が来るかもしれません。今回は「ゴミが通貨になる未来」の可能性を、実例とともに探っていきたいと思います。
目次
ゴミが“通貨”になるってどういうこと?
「通貨」というと、お金・硬貨・紙幣を思い浮かべる人がほとんどだと思います。
しかしここでいう通貨は、もっと広い意味を持っています。ゴミが価値を持ち、社会貢献や支援、資源循環、あるいはポイントや特典交換に使われるもの。
たとえば、ペットボトルのキャップが一定数集まったらワクチンを提供する団体への寄付になる。古着を集めて、それをリサイクルし、その利益を地域の教育支援にあてる。食品ロスを集めて肥料・飼料に変換し、その過程で誰かの暮らしを助ける…など。こうした仕組みを通じて、捨てられていたものが「無価値」ではなく「価値」を持つようになります。
この価値を可視化して、参加する人が「自分も貢献している」と実感できれば、ボランティアとしての機会も拡大するはずです。
海外で進むゴミで価値を生む取り組み
では、実際にどんな取り組みがあるのか、海外の事例を見てみましょう。
まず、**インドネシアの「ゴミ銀行(Waste Bank)」**です。ゴミ銀行とは、住民が家庭の中で分別したゴミを銀行のような施設に持ち込むと、それを重さや種類で評価して“預金”できる仕組み。預けた“預金”は現金や生活必需品、あるいは公共サービスの割引と交換できることが多いといいます。この仕組みはゴミの分別・回収率をあげ、ごみ問題と生活課題を同時に改善するモデルとして注目されています。
また、南米やアフリカの一部地域では、古着などのリサイクル品を集めて輸出し、その収益を学校建設や保健医療支援にあてているケースがあります。これも「ゴミが価値に変わる」典型例です。捨てるものが誰かの役に立つ資源になっているのです。
さらに、ヨーロッパの一部自治体ではゴミ分別+再生素材利用を進めており、分別すればするほど自治体からポイントがもらえ、ポイントを地域のお店で使える制度を導入しているところもあります。これにより、住民の分別意識も上がり、地域経済にも好影響を与えています。
日本の企業・自治体の挑戦例
日本でもこの「ゴミが通貨になる」という考え方を取り入れた取り組みが徐々に広がっています。ここではいくつかの企業・自治体の例を紹介します。
まず、ユニクロの「RE.UNIQLO」 プログラム。不要になったユニクロの服を回収し、再利用・リサイクルを進めています。この回収活動の結果、リサイクル素材としての再活用だけでなく、次の製品開発の素材になるなど、資源の循環を意識した取り組みがなされています。
→ https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/re-uniqlo/
次に、ローソンのフードドライブ活動。国内店舗で余っている非売食品や寄付された食品を集め、食の支援を必要とする地域へ届ける活動です。これによって食品ロスを減らし、同時に社会的課題のひとつである「飢餓」や「食品の貧困」の問題にもアプローチしています。
→ https://www.lawson.co.jp/company/activity/social/welfare/fooddrive/
また、神奈川県では、「湘南ビーチクリーンアクション」において清掃活動後、参加者にNFTを配布するという実証実験が行われています。これは、海岸に落ちているゴミ拾いという活動を通じて、参加の証(=NFTというデジタル資産)を提供することで、「参加が記録として残る」「参加した満足感」「次も参加したいと思えるインセンティブ」を提供する仕組みです。
→ https://www.web3-chihou-sousei.net/chihou-jititai/kanagawa_prefecture02/
こうした取り組みは、ゴミを単なる廃棄物として扱うのではなく、価値を持たせて“通貨”的要素を持たせる動きといえます。
テクノロジーが描く新しい仕組み
未来のボランティアを考えるとき、テクノロジーは大きな役割を果たします。「価値」の可視化・交換・追跡ができる仕組みがあれば、「ゴミが通貨」となる世界がぐっと現実味を帯びます。
例えば、ブロックチェーンを使ってゴミ回収の量や種類をデジタルで記録し、それに応じてポイントやNFTを付与。参加者はそのポイントを地域通貨や商品、さらには寄付に使うことができる。こうした設計なら、「ただ拾うだけ」ではなく「拾った証が見える形で返ってくる」ため、モチベーションも維持しやすいです。
また、スマホアプリと連動する仕組みも考えられます。例えば、家庭で分別したプラスチックや古紙を指定場所に持ち込む → アプリにて重さを計測してポイントが付与される → そのポイントを地域の商店やカフェで使えるクーポン券に交換、というモデル。住民にとっては「得する」体験が入ることで継続性が生まれます。
さらに、AIや画像認識技術を使って、ゴミの種類を自動で認識し、分別を助けるロボットやマシンを設置する未来像も。こうした技術連携が、ゴミを通貨たらしめるための“効率性”と“信頼性”を高めることになるでしょう。
誰でも始められる小さなアクション
未来の仕組みを待つだけじゃなく、今この瞬間から自分にもできることがあります。大きなことをしなくても、「意識して捨て方を変える」「少し工夫する」だけで価値を生み出せます。
たとえば、ペットボトルキャップを集めて、地域の活動団体に寄付する。集めたキャップがワクチン支援に使われる例は実際にあります。古着であれば、着なくなった服を回収BOXや団体に送ること。食品ロスを減らすために、買いすぎない・使い切る工夫をする。
また、地域の清掃活動に参加する。海岸・河川・公園など、自分の住んでいる場所でできるゴミ拾いであっても、「見える価値」がある活動です。写真を撮ってSNSで共有するだけで、「自分もやってみたい」という気持ちが隣人に伝わることもあります。
学校なら、「ゴミを通貨にするプロジェクト」を立ち上げてみるのもいい。ゴミを回収してポイントを競う、賞を設けるなど、遊び要素を入れると参加者が増えやすくなります。
まとめ:ゴミが未来をつくる意味
ゴミはこれまで「捨てるもの」「邪魔なもの」として扱われがちでした。でも、一度「価値を持つもの」として考え始めると、未来は大きく変わります。ゴミが通貨のように扱われる世界では、参加する人が報われ、無駄が減り、資源が循環し、地域のつながりも強くなります。
大切なのは「捨て方を意識する」「参加する」「可視化する」こと。未来を見る目を持ち、行動を少しずつ変えることで、私たちはすでにその“未来”を築き始めているのです。
もしこの記事を読んで「自分も何かやってみたい」と思ったら、まずはペットボトルキャップや古着、小さなゴミ拾いからでも始めてみてください。その一歩が、未来の通貨を育てる種になります。
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参考文献
- エコキャップ推進協会「エコキャップ運動とは」
- UN環境計画(UNEP)「Waste Banks in Indonesia」
- ユニクロ「RE.UNIQLO」
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/re-uniqlo/
- ローソン「フードドライブ活動」
https://www.lawson.co.jp/company/activity/social/welfare/fooddrive/
- 横浜市「食品ロスの削減」
https://www.city.yokohama.lg.jp/
- 神奈川県「湘南ビーチクリーンアクション × NFT 実証実験」
https://www.web3-chihou-sousei.net/chihou-jititai/kanagawa_prefecture02/
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