SDGs目標5『ジェンダー平等』日本の現状とこれから

こんにちは!JAVOメディアライターの村松です!
今回はSDGs目標5「ジェンダー平等」に対しての取り組みについて日本にフォーカスして紹介したいと思います。
日本が今どのような取り組みをしてジェンダー平等を実現しようとしているか知っていただきたいなと思います。
1.SDGs目標5「ジェンダー平等」とは
SDGsの「ジェンダー平等」は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女児の能力強化を行う」とあります。
この目標を達成するために掲げられた具体的な目標が、以下の9つです。
出典:農林水産省『SDGsの目標とターゲット』
ジェンダー平等を達成するには差別的な認識や偏見をなくすだけでなく、社会的、経済的構造から変化させていく必要があります。例えば女性の就労や経済活動の機会を作るには、政府から企業に働きかけるなど、環境を整える必要があります。
例えば女性の就労の妨げが家事であれば、家事をサポートするような公的サービスや、能力開発が求められる場合は就労のための能力強化の支援も求められる場合があるでしょう。
こうした取り組みの対象は、必ずしも女性や女児だけに限りません。ジェンダーとは社会のなかで生まれた男女の役割の違いによって生まれる、社会的・文化的な性別です。このジェンダーにもとづく偏見や不平等をなくし、すべての人が平等に自由でいられる権利を持つことが、ジェンダー平等におけるゴールといえます。
2.日本の現状
日本はアメリカやドイツ、フランスといった先進国に比べて、ジェンダー平等が達成できていない傾向にあります。
2024年6月に発表された「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」によると、日本は146カ国中118位で、G7諸国の中では最下位となっています 。前年の125位から7ランクの上昇が見られたものの、依然として大きな格差が存在します。
日本では特に経済や政治の部門におけるジェンダー平等が課題となっています。
経済分野では、女性の労働参加率は76.8%と高いものの、上級職における女性の割合は17.1%にとどまり、ジェンダー平等スコアは0.171で、120位となっています 。また、推定所得においても男女間で41.7%の差があり、女性の平均所得は男性の約58.3%に過ぎません。
政治分野では、閣僚に占める女性の割合が20人中5人となり、前年の8%から33.3%に増加しましたが、国会議員の男女比は11.5%と依然として低く、政治的エンパワーメントのスコアは11.8%で113位となっています。
出典元:https://www.joicfp.or.jp/jpn/column/gggr2024/
3.日本の取り組み
日本ではSDGsの目標達成に向けて、「SDGsアクションプラン」が策定されています。アクションプランでは特に、女性の社会進出を推し進めるための計画が多数あります。
2021年(令和3年)当初では、約2.3億円の予算が割かれています。
計画のなかでも代表的なものが「働き方改革」です。働き方改革とは柔軟な働き方を実現し、女性をはじめとするすべての人が社会進出しやすい環境を作る改革のことです。また女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」とし、優良銘柄として東京証券取引所と共同で投資家に紹介する事業を実施しています。
なおSDGsが採択される以前から、日本はジェンダー平等に向けた諸外国への支援を実施しています。例えば2013〜2015年の3年間では、東南アジアやアフリカを中心に30億ドル超の支援を行いました。
また女性に対する暴力の根絶を目指す啓発活動としてパープルリボン活動も行われています。
パープルリボン運動は、日本における「女性に対する暴力をなくす運動」の象徴的な活動であり、毎年11月12日から25日までの期間に実施されます。この期間は、国の男女共同参画推進本部が定める「女性に対する暴力をなくす運動」期間として、全国でさまざまな啓発活動が行われています。
パープルリボン活動の目的は女性に対するあらゆる暴力の根絶と、被害者への支援を広く呼びかけることにあります。
この活動の具体的な例として、運動期間の初日である11月12日には、東京スカイツリーや全国の主要施設が紫色にライトアップされます。これにより、女性に対する暴力根絶のシンボルとしての認知度を高め、被害者に対して「ひとりで悩まず、まずは相談を!」というメッセージを発信しています。令和6年度(2024年度)には、全国47都道府県、450か所以上の施設でパープル・ライトアップが実施されました。
4.日本の課題と解決策
日本のジェンダー平等への課題は大きく分けて5つあります。
① 意思決定層への女性の少なさ
政治・経済分野において、女性の割合が依然として低いこと。
例:衆議院における女性議員比率は約10%、企業の管理職に占める女性割合は約15%前後(2024年時点)。
②職場における男女格差
男女間の賃金格差(厚労省調査では女性の平均年収は男性の約75%)。
管理職登用や正社員登用の機会不平等。
③ 育児・家事の女性への偏り
育児・家事の約7割以上を女性が担っており、共働き世帯でも負担の偏りが顕著。
男性の育児休業取得率は2022年度時点で約17%、依然低水準。
④教育・メディアにおけるジェンダーステレオタイプ
「男は仕事・女は家庭」という固定観念の刷り込み
メディアにおける性役割の偏った描写
⑤ LGBTQ+を含む多様なジェンダーへの理解不足
・同性婚が認められていない
・トランスジェンダーやノンバイナリーの人々への偏見と差別
これらの課題の解決方法として挙げられるのは
・クオータ制(一定割合を女性に割り当てる制度)の導入検討。
・女性候補者の育成と支援制度(政治塾・研修など)。
・男女両方に公平な昇進評価制度の整備。
・賃金の「見える化」義務化(2022年から一部企業に義務付け開始)。
・企業による柔軟な勤務制度(テレワーク・時短勤務など)の整備
・育児休暇取得を評価項目にする人事制度改革
・ジェンダー教育の義務化(小学校から大学まで)
日本におけるジェンダー平等の課題は、職場での男女格差、家事・育児の不均等な負担、政治への女性参画の少なさ、教育やメディアにおける固定観念、そしてLGBTQ+への理解不足など、様々です。
これらの課題は制度的な改革だけでなく、私たち一人ひとりの意識の変化によっても改善が可能なものです。まずは私達にもできることから始めていきましょう。
5.最後に
SDGs目標5「ジェンダー平等」は、すべての人が性別に関係なく平等に生きられる社会を目指す重要な目標です。日本では少しずつ改善が進んでいるものの、職場での男女格差、政治分野での女性の少なさ、育児や家事の負担の偏りなど、まだ多くの課題が残されています。
これらを解決するためには、制度や政策の見直しと同時に、社会全体の意識の変化が求められます。ジェンダー平等の実現は、誰もが自分らしく生きられる未来への第一歩です。当事者ではなくても、同じ国に生きる人間です。一人ひとりが生きやすい世の中を自分たちの手で作っていきたいと私は思っています。
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