現代社会が直面する“法制度の5つの課題”とは?

こんにちは!JAVOメディアライターの高木です。今回は、「法制度の課題」について記事にしました。私たちの社会は「法」というルールのもとで秩序を保ち、個人の権利や自由を守っています。「法」は私たちには無くてはならないものです。
しかし、法制度が必ずしも完璧であるという保証はなく、現実社会の変化に対応しきれない点や、制度運用上の問題点も数多く存在するのではないか?と考えるようになりました。
この記事では、現代社会における法制度の主な課題について整理し、今後の改善に向けた私の視点を共有したいと思います。あくまで私個人の意見である箇所が多く見られるので、そこはご了承頂きたいです。ぜひ読んでくだされば嬉しいです。😊
目次
1. 法改正の遅れと社会変化への対応不足
第一の課題は、「法改正の遅れ」です。現代社会はデジタル化、グローバル化の進展によって急速に変化しています。たとえばインターネットやAI、ブロックチェーンといった技術の登場は、個人情報の保護や著作権、契約のあり方に大きな影響を及ぼしています。法律が作られた時代にはなかった媒体をめぐる影響によって、トラブルや詐欺などの犯罪も新たに発生していきます。しかし、現行法はこうした新たな課題に迅速に対応できていません。
具体例としては、SNSでの誹謗中傷に対する対応の遅れが挙げられます。誹謗中傷という行為は名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性はあるものの、「SNSでの誹謗中傷」にちょうど対応できる法律はありません。新たな課題に対する法が十分ではないことで被害者が救済されるまでに多くの時間と労力がかかるため、これは現状の制度の不備と言えるのではないでしょうか?
法律は現実に即してこそ有効であり、時代に取り残された法は、かえって社会的混乱を招く恐れがあります。法を改正することは決して簡単なことではないですが、時代にあったものへとアップグレードしていく必要があるように思います。
※ブロックチェーンとは…データをブロックと呼ばれる単位で、鎖のように連結して記録・管理する分散型台帳技術。取引履歴を暗号技術で記録し、改ざんが極めて困難な仕組みで、仮想通貨(ビットコイン)を支える技術としても知られている。
2. 司法制度の透明性とアクセスの問題
次に、「司法制度の透明性およびアクセスの困難さ」があります。司法制度は、国民が権利を守る最後の砦ですが、その手続きの複雑さ、費用の高さ、専門性の高さなどから、多くの市民にとっては敷居の高い存在となっています。
たとえば、民事訴訟を起こす際の訴訟費用や時間的コストは、個人にとって大きな負担となります。また、弁護士費用の高さも司法アクセスを妨げる要因です。法律や法律関係の職業に対して堅い印象を抱き、気軽に相談しても良いだろうかと考えてしまい相談することがハードルの高いものに感じてしまう恐れがあります。こうした現状では、本来保障されるべき「法の下の平等」や「裁判を受ける権利」が十分に担保されているとは言えません。
さらに、裁判官の判断に対する透明性も課題の一つです。特に刑事裁判においては、冤罪のリスクや、取調べの可視化の遅れなどが批判されています。裁判の公正性を担保するためにも、司法の透明性を高める努力が必要です。
また、「裁判員制度」についての理解を深めることも大切だと思います。法律上20歳以上で選挙権のある国民は、誰でも裁判員に選ばれる可能性があります。地方裁判所で行われる刑事裁判(第1審)に参加し、証人の証言や証拠書類などを確認し、裁判官とともに被告人が有罪か無罪かを判断し、有罪の場合には量刑も決定します。その精神的な負担や生活への影響、そして厳しい守秘義務など、負担が大きいと言う声がよく聞かれ、辞退を申し出る人もいます。被告人やその家族、被害者の一生を左右する重要なものという意識が強く荷が重いと感じてしまう人もいるのではないでしょうか?そうした不安を払拭し、「法」というものをもっと身近に感じてもらうようにする努力が必要になってきます。
3. 法教育の不足と市民の法意識の低さ
法制度の課題として見逃せないのが、「法教育の不足」です。私たち市民は、日常生活の中で法律を意識する機会が少なく、また、自身の権利や義務を十分に理解していないことが多いのが現状です。
たとえば、労働法における最低賃金や労働時間、解雇に関する知識が乏しいまま働いている労働者が少なくありません。また、若者の間でも、契約や著作権といった基本的な法的知識が不足しています。これでは、法的トラブルが起きたときに自分を守ることが難しくなります。例えば著作権のことをよく知らないままある会社が出しているゲームの実況動画を作成してSNSに投稿したり、ブログにキャラクターの画像を貼ったりするケースです。商品・画像の利用規約などをよく見て判断しないと、著作権違反になり懲役刑や罰金が課せられることがあります。私は記事の執筆活動を行う中で多くの画像を使用していますが、著作権や肖像権違反にならないように気をつけています。具体例としては、人が写った画像は使用しない、自分が撮った写真を使う、フリー素材のみで対応するなどです。「知らなかった」では済まされないので、しっかりと利用規約を読んだ上で不安であればその会社に連絡を入れて確認を取ってください。
また、不利な契約を結ばされることもあります。利用規約を読むことを大切にしてください。様々な契約をする時、どんな契約でも利用規約というものは存在していると思います。ネット登録時によくあることですが、全て読むのが面倒臭くなってほとんど読まずにスワイプしてすぐに登録することがあるのではないでしょうか?不利な契約内容は私たちに見えにくいように小さく下の方に書かれていることがあります。しかし、「契約書にサインした」時点でこの契約内容を受け入れたことになってしまいます。自分の身を自分で守るためにもサインする前にしっかり全体を読んで本当にこれで良いのかをよく考えてください😊
法制度は市民の理解と参加によって健全に機能します。したがって、学校教育や地域社会における法教育の充実が、今後ますます重要になっていくでしょう。
4. 少数者・弱者の権利保護の不十分さ
法制度は本来、すべての人の権利を平等に守るべきものです。しかし、現実には、社会的弱者や少数者に対する保護が不十分であるケースが多く見られます。
例えば、外国人労働者や障害者、性的マイノリティ(LGBTQ+)といった人々が、制度的な差別や不利益を受けている実態があります。「同性婚」や「選択的夫婦別姓」などの新しいパートナーとの関係を認める法律がまだ可決されていないことなどです。配偶者を「異性に限る」といった法律はないものの民法や戸籍法にあたる「夫婦」という言葉が男女による婚姻を前提としているため認められないそうです。だから、体の性と自認する性が一致しないトランスジェンダーの方たちは婚姻を認められないケースがあります。一部の人たちの間で憲法を例に出して批判が行われています。日本国憲法の14条1項「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」。24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とあります。以上の憲法で明記されていることを受けて、同姓であろうがお互いの合意があれば婚姻関係が結べるということが主張されています。それぞれの根拠となるものがあり打開策を打つのはとても難しいですが、一人ひとりの権利を尊重する制度を整えることも大切です。
また、DVや児童虐待のような家庭内問題においても、被害者が十分な保護を受けられない例が後を絶ちません。「誰もが平等」の法制度を実現するためには、まずはそういった社会的弱者の人たちを保護する体制が整ってからではないでしょうか?権利保護の不十分さが法制度の課題だと考えています。
法の下の平等を実現するには、制度自体をより包括的に設計し、運用面でも実効性を持たせる必要があります。差別を防ぎ、誰もが安心して暮らせる社会の実現には、法制度の不断の見直しが求められます。
5. 立法過程の不透明さと市民参加の欠如
最後に取り上げたいのは、「立法過程の不透明さと市民参加の乏しさ」です。民主主義国家においては、国民の代表が法律をつくることになっていますが、その過程が一般市民にとって非常に見えにくいという問題があります。直接民主制は現実的に難しいため仕方がないことですが、やはり国民が自分たちの手で法律をつくるという実感がないからではないでしょうか?
今の日本では投票で自分たちのリーダーを決め、選ばれた議員が国会で討論をする間接民主制が取られています。最近では「若者の投票離れ」という言葉があるほど若い世代の投票率が低いことが問題視されています。実際私の友人も政治への関心があまりないため選挙に行かないという意見を持つ人が多くいます。また、政治家や政党に対してあまり良い印象を持っておらず、投票に行かないと答える人もいました。選挙に行かないことで国で行われている政治について考える機会が減り、政治参加が欠如するきっかけになっていると感じます。政治への参加が欠如していると、法律が作られる過程が見えにくくなるのではないでしょうか?
また、多くの場合、法律の内容は専門用語で記されており、パブリックコメント制度なども形式的に行われているにすぎません。その結果、特定の業界団体や利害関係者の声ばかりが反映され、市民の視点が軽視されることがあります。
真に市民のための法制度をつくるには、立法過程の透明性を高め、市民の声がより反映される仕組みを強化する必要があります。情報公開、電子的な意見提出、熟議民主主義の導入などが今後の課題です。
※パブリックコメント制度とは、、、国の行政機関や地方公共団体が、政策や計画などを決定する際に、事前に案を公表し、広く国民や住民から意見や情報を募集し、それらを検討する制度。これにより、行政の透明性を高め、国民の参画を促し、より良い政策や計画づくりを目指すことができる。
おわりに
ここまで、現代の法制度が抱える主な課題を5点にわたって述べてきました。法律は、私たちの生活と切り離せない存在であり、その制度的な弱点は、最終的に私たち一人ひとりの権利や生活の質に影響を与えます。したがって、法制度の課題を明確にし、社会全体でそれを議論・改善していくことが必要不可欠です。技術革新や社会価値の変化に対応した柔軟な制度設計がより一層求められています。
「法制度は市民のためのものであるべき」です。そのような法制度を整えることが大切になってきます。そのためには、私たち一人ひとりが「主権者」として関心を持つことが第一歩です。どんなに素晴らしい法制度が整えられたとしても、我々の法意識が低く積極的に行動することが出来なければ依然として課題になります。まずは私たちが政治や法律に興味を持ち、意識を変えていきましょう!そうすることで「法」というものが今よりもずっと身近に感じられ、敷居の高いものではなくなっていきます。😊この記事を読んで法制度が抱える問題点を知っていただき、法に対して少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
以上になります。最後までご覧いただき、ありがとうございました♪
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参考文献
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