SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

こんにちは、JAVOメディアライターの陌間です。
世の中にはまだ解決されていない問題がたくさんありますが、特にジェンダー平等や教育支援は重要な課題です。今回はこの問題をどう解決していくべきか、どんな取り組みが必要なのかを見ていきます。
目次
はじめにージェンダー平等とは何か
世界には、いまだに性別によって差別や不平等が存在していす。男性に向いている役割や責任、女性に向いている役割や責任など、個人の希望や能力ではなく「性別」によって生き方や働き方のあり方を決められてしまうことがあります。このような状況を変え、すべての人が自由に自分の人生を選べるようにするために、国連は持続可能な開発目標(SDGs)の一つとして「ジェンダー平等」を掲げています。「ジェンダー平等」とは性別に関わらず、誰もが平等に責任や権利、機会を分かち合い、物事を一緒に決めていくことができる状態のことを指します。
日本でも、女性管理職の割合が低いことや、性別による固定念が根強く残っているのが現状です。また、アフリカの一部地域では、教育を受けることすら難しい女の子たちがいます。
この記事では、日本とアフリカそれぞれのジェンダー平等に関する課題を取り上げ、特に「教育」がどのようにこの問題と関わっているのかを考えていきます。
ジェンダー平等と教育の関係性
ジェンダー格差は教育の格差に深く関係しています。ユネスコによると、現在世界には約7億7500万人の非識字者が存在し、その約3分の2が女性です。十分な教育を受けられない女性は、安定した職に就くことが難しくなり、経済的に自立することが困難になります。その結果、生活のために男性に依存せざるを得なくなる場合が多いです。*1
また、教育を受ける機会が限られていると、政治や経済に関する知識を得ることが難しくなり、自分の権利を守る方法がわからなくなります。女性の社会的な発言力が弱いままでは、政策決定の場において女性の声が反映されにくくなり、ジェンダー格差を解消するための仕組みが整わないままとなります。さらに、教育の重要性を十分に理解する機会がないと、自分の子どもに教育の必要性を認識できず、その考えが世代を超えて受け継がれてしまう可能性があります。
このような状況が続くと、女性は家事を担うことが当たり前とされ、仕事を持たず、男性を支える役割を果たすことが当然だという文化が定着します。この考え方は徐々に風化されていますが、未だにその思想を持つ人々も存在します。その結果、女性の社会進出が阻まれ、経済活動への参加が制限されるだけでなく、家庭や社会における立場も弱くなりがちです。そして、女性の地位が低い社会では、性的虐待や性的暴力といった深刻な問題が解決されず、女性が軽視される文化が根強く残り続けることにつながります。
ジェンダー平等を実現するためには、すべての人に平等な教育の機会を提供し、女性が社会で活躍できる環境を整えることが不可欠です。
アフリカにおけるジェンダー平等の現状と課題
アフリカでは、ジェンダー平等の実現に向けた取り組みが進められており、国によってジェンダー格差の状況が異なりますが、多くの国では依然として男女の不平等が続いています。世界経済フォーラムが発表する「ジェンダー・ギャップ指数」では、中東・北アフリカの達成率は約62.6%*にとどまっており、他の先進国よりも低い水準です。*2
アフリカでは教育の機会が限られていることも、大きな課題の一つです。現在も多くの女の子が学校に通えず、識字率が低いまま成長しています。その背景には、児童婚や人身売買、家庭での労働負担などの問題が大きく影響しています。特に、西アフリカと中央アフリカでは、若い女性の10人に4人近くが18歳未満で結婚しており、多くの女の子たちは幼いうちに結婚を強いられ、教育を受ける機会を奪われてしまっています。また、児童婚の背後には、一部地域での伝統的な価値観が根付いていることや、家族が経済的負担を減らすために娘を早く結婚させることも少なくありません。また、幼い時の出産は身体に大きな負担をかけ、健康を損なう可能性もあります。*3
さらに、多くの少女は家庭内労働や農作業を任されていて、学校に通う時間を確保できていません。特に農村部では、家事や弟や妹の世話が女の子の役割とされ、教育が後回しにされてしまう傾向もあります。加えて、低賃金で過酷な労働環境も深刻な問題となっており、例えば、ケニアの農村部の女性は一日平均11時間働いているとされ、長時間の重労働のせいで学ぶ機会を失ってしまっています。*4
また、紛争や戦争によって学校が破壊され、安全に学べる環境が整っていない地域もあります。さらに、避難した後に社会的に弱い立場となり、その状況を悪用されて人身売買の被害に遭い、強制労働や性的搾取を受けるケースも後を絶ちません。
日本におけるジェンダー平等の現状と課題
ジェンダー平等はアフリカや他の地域に限った話ではなく、日本でも大きな課題となっています。ジェンダー・ギャップ指数では146か国中118位、ジェンダー不平等指数では193か国中22位と、先進国の中でも男女平等の進展が遅れています。*5
特に、男女の賃金格差は深刻な問題です。令和3年のデータによると、男性の給与を100とした場合、女性の給与は75.2となり、約25%の差があります。これは、同じ仕事をしていても収入に格差があることを示しており、昇進の機会にも性別による偏りがある可能性があります。*6
また、正社員に占める女性の割合は27.2%と低く、多くの女性が安定した雇用に就けていません。*7さらに、6歳未満の子どもがいる家庭では、夫の80.5%が家事をせず、67.2%が育児をしていないというデータがあります。この結果から、「男性は仕事、女性は家庭」という価値観が今も根強く、女性の家事・育児負担が大きいことがわかります。家庭内の役割分担が変わらなければ、女性の社会進出はさらに難しくなるでしょう。*8
政治の場でも女性の参加は少なく、衆議院議員に占める女性の割合はわずか9.7%です。そのため、女性の視点が政策に反映されにくく、ジェンダー平等に関する取り組みが後回しにされる要因となっています。*9
日本とアフリカでのジェンダー平等に向けた取り組み・ボランティア
日本の取り組み
日本では、ジェンダー平等を進めるため、働き方改革が進んでいます。企業は、女性が働きやすい環境を作る取り組みや、男性の育児休業を推進する活動を行っており、これによって家事や育児の分担が男女平等に近づくことが期待されています。また、学校やNPOではジェンダーについての啓発活動が行われており、社会全体の意識を変えようとしています。
アフリカの教育支援
アフリカでは、ユニセフやUNESCOをはじめとする多くの国際機関やNGOが教育支援活動を行っています。例えば、これらの機関は学校の建設や奨学金の提供を通じて、現地の教育環境を改善する取り組みをしています。また、支援活動に参加する方法としては、寄付やボランティア活動が一般的です。現地での活動に直接参加することもできますが、最近ではオンラインで日本から支援できる方法も増えてきました。例えば、現地の子どもたちにオンライン授業を提供するボランティアに参加したり、少額からの寄付で支援することもできます。
終わりに
ジェンダー平等や教育支援の問題は、私たち一人ひとりが意識を高め、行動することで少しずつ改善できます。女性の社会進出が遅れている現状を変えるためには、男女問わずお互いに支え合うことが重要です。ボランティア活動や寄付など、身近でできる支援を通じて、社会全体を変えていくことができます。
また、政府や企業、教育機関が協力し、ジェンダー平等を進める政策を推進し続け、すべての人に教育の機会を提供することも必要です。これらを実行することによって、より多くの人々が平等で自由に生きられる社会が実現できると信じています。
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参考文献
*1ユネスコ:https://www.accu.or.jp/glossary/glossary_literacy/
*2世界経済フォーラム: https://www.weforum.org/publications/global-gender-gap-report-2023/digest/
*3ユニセフ:https://data.unicef.org/topic/child-protection/child-marriage/
*4国際連合開発計画: http://www.undp.or.jp/ticad_undptokyo/pdf/AfricaGender.pdf
*5男女共同参画:https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html
*6男女共同参画:https://www.gender.go.jp/research/weekly_data/07.html
*7厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r02/02.pdf
*8男女共同参画: https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/kurashikata_ishikihenkaku/kaisai/pdf/da01-3.pdf
*9男女共同参画:https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/honpen/b1_s01_01.html
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