アニマルレフュージ関西と「里親になること」

こんにちは!JAVOメディアライターの辻本です。
突然ですが、皆さんは日本で可愛い犬や猫が殺処分されている現状について、どのように感じていますか?
私は幼い頃、テレビで見た光景が今でも忘れられません。犬が鉄製の部屋に連れて行かれ、そこで毒によって命を奪われ、その壁には犬が必死に引っ掻いた跡が残っていたのです。
このような現実を変えるために、動物保護の活動が広がっています。
私たち一人ひとりの支援が、動物たちの命を救う力になります。
目次
1. はじめに:日本の動物保護の現状とアニマルレフュージ関西(ARK)の設立背景
日本における犬や猫の保護施設の現状は、決して明るいものではありません。毎年、多くの動物たちが飼い主の事情、迷子、虐待、あるいは放棄によって保護施設に収容されますが、施設の受け入れ数には限りがあり、十分なケアや新しい家を見つけることが追いついていません。結果として、依然として動物の殺処分問題が残り、多くの命が失われているのが現状です。こうした課題に向き合うため、1990年に大阪府で設立されたのがアニマルレフュージ関西(ARK)です。ARKは、動物保護を目的とする認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)として、関西を中心に幅広く活動を展開しています。
「Animal Refuge(アニマルレフュージ)」とは直訳すると「動物たちの避難所」を意味し、その言葉の通り、ARKは行き場を失った犬や猫を救い出し、安全な場所を提供するセーフティネットとしての役割を果たしています。
認定NPO法人という位置づけは、一般的なNPO法人とは異なり、所轄庁によって運営の適正性や公益性が認められた法人に与えられるもので、これにより活動への信頼度が高まると同時に、寄付をする個人や企業側も税制上の優遇措置を受けることができ、支援の輪を広げやすいという大きなメリットがあります。
2. ARKの活動目的と理念
ARKは、動物の尊厳が社会で当たり前に守られることを目指し、動物福祉の向上と改善を根底に据えた活動を行っています。そのためには単に動物を保護するだけではなく、社会全体の意識改革が不可欠であると考えています。
その一環として、ARKは日本の動物たちの現状を多様な世代に伝え、動物愛護に対する理解を促進し、飼育者の責任や意識の向上を図ることに力を注いでいます。具体的な取り組みとしては、行き場を失った動物の保護とケア、そして里親探しや譲渡活動を柱に据えています。
また、不妊去勢手術の推進も重要な活動の一つです。無計画な繁殖は望まれない命の誕生を招き、結果的に保護施設の負担を増やし、動物たちの生活の質を低下させる恐れがあります。そこでARKは、不妊去勢手術を普及させる啓発活動や、費用の補助、行政への働きかけを通じて、持続可能な動物福祉社会の実現に貢献しています。
さらに、教育活動も欠かせません。子どもたちに動物への思いやりや責任感を育むためのワークショップや学校訪問、そして行政への政策提言を通じて、社会の土台から動物愛護の精神を根付かせようと努力しています。
3. 活動拠点の紹介と特徴
ARKは大阪、篠山、東京の三つの拠点で活動を展開しています。それぞれの拠点には独自の特徴があり、地域や動物たちのニーズに応じた柔軟な対応が可能です。
大阪アークは設立当初からのメイン拠点であり、多くの保護犬猫がここで生活しています。都市部に近いことから、多様な支援者やボランティアが集まりやすく、譲渡イベントなども活発に開催されています。大阪アークでは、動物の健康管理やしつけ、社会化のためのトレーニングが日々行われ、新しい家族を迎え入れる準備が整えられています。
篠山アークは、広大な敷地にドッグランを備え、冷暖房完備の犬舎を持つ最新の施設です。ここでは動物の快適な生活環境に重点を置き、ストレスの少ない飼育が実現されています。自然豊かな環境の中で、動物たちはのびのびと過ごすことができ、譲渡前の社会性や健康維持にも良い影響を与えています。
一方、東京アークはシェルターを持たず、都市部での譲渡活動に特化しています。特にフォスターボランティア制度(動物の一時預かり)を活用し、家庭で動物を預かりながら譲渡先を探すスタイルです。これにより、都市部の狭い住宅事情やシェルターのスペース不足という課題を乗り越えつつ、動物にとってより良い環境を提供しています。
4. 支援方法の多様さとその役割
ARKの活動は多種多様な支援によって支えられています。金銭的な支援としては、オンライン寄付や銀行振込、郵便振替など複数の手段が用意されており、寄付金は動物の医療費や不妊手術、ワクチン接種、さらに団体の運営費などに充てられています。寄付者には税制優遇措置があり、支援をしやすい仕組みが整っています。
物品寄付も欠かせません。フードや消耗品、清掃用品など、施設運営に必要な物資の提供は日々のケアに直結し、大きな助けとなっています。
ボランティア活動は施設内外で活発に行われています。施設の清掃や動物の散歩、ブラッシング、譲渡イベントの補助など多岐にわたる作業があり、多くの人々が協力しています。特に注目されるのがフォスターボランティア制度で、これは家庭で動物を一時預かりし、愛情をもってケアしながら譲渡を待つという形態です。実際に動物と触れ合いながら支援ができるため、ボランティアの満足度も高く、動物の精神的ケアにも好影響を与えています。
また、会員やスポンサーとして継続的に支援する方法もあり、活動の安定的な資金源となっています。寄付金の一例として、1,000円の寄付で犬や猫にワクチン一本を接種できるなど、小さな支援でも大きな効果を生み出しています。
5. 里親制度の仕組みとその大きな意義
支援の中でも特に重要視されているのが「里親になること」です。里親制度は保護された犬や猫を一時的ではなく恒久的に家庭で迎え入れ、新しい家族として生活させる制度です。ARKでは譲渡前に動物の健康チェックやしつけのサポートを徹底し、里親希望者には面談や説明会を通じて適切な環境を整えてから譲渡しています。
動物にとっては、施設の狭いケージ暮らしよりも、家庭の温かい環境で過ごすことがストレスの軽減につながり、心身の健康維持に非常に良い影響をもたらします。動物は愛情を感じることで人間に対する信頼を深め、社会性を身につけやすくなるため、新しい生活への適応がスムーズになります。
一方で里親となる人にとっては、単に動物を飼う以上の価値があります。命を救う喜びや動物から得られる癒し、日常生活に生まれる充実感は、かけがえのない体験です。さらに、里親になることで地域の動物福祉活動の輪が広がり、周囲の人々の意識向上にもつながります。
6. なぜ「里親になること」が支援の中心なのか
「里親になること」が支援の中核を担う理由は、動物の生活環境を直接的に変え、命を救う行為であるからです。金銭的な支援も重要ですが、それだけでは動物たちの生活を根本的に改善することはできません。
例えば、シェルターに長期収容されている動物は、限られたスペースやスタッフのリソースの中で生活しており、新たな保護動物の受け入れが制限されてしまいます。しかし、その動物が里親のもとで安心して暮らせばシェルターの収容枠に余裕が生まれ、他の救いを必要とする動物を受け入れることが可能になります。
また、里親になることは単に命を救うだけでなく、動物愛護の文化を地域社会に根付かせる役割も果たします。家族として迎え入れた経験が、周囲の人々にも動物を大切にする気持ちを広げ、結果的に社会全体の動物福祉向上に繋がるのです。
7. 里親になるために知っておくべきことと準備
里親になることは尊い支援ですが、その責任は決して軽くありません。生活環境の準備、食費や医療費などの経済的負担、そして何より動物の健康や心理面のケアに時間と労力をかける必要があります。ARKでは、こうした負担を適切に理解し、長く安定して里親生活を送れるように、事前の面談や説明会、譲渡後のサポート体制を整えています。
また、状況によっては里親になることが難しい場合もあります。その場合は、一時的に動物を預かるフォスターボランティアや物品の寄付、寄付金の支援など、自分に合った支援方法を選ぶことが大切です。自分のペースやライフスタイルに合った形で支援に参加することが、長期的に続ける上でのポイントです。
8. まとめ:命をつなぐ最も尊い支援の形
日本の動物たちが直面する厳しい現状を乗り越え、動物の尊厳と幸福を守るためには、多くの支援が必要です。寄付やボランティアも重要ですが、最も直接的で力強い支援は、「里親になること」にほかなりません。
ARKは、その活動を通じて多くの動物たちに第二のチャンスを与え、また支援者たちに命の尊さを実感させています。あなたもぜひ、自分に合った支援の方法を見つけ、動物たちの未来を支える一員となってください!
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参考リンク
アニマルレフュージ関西(ARK)公式サイト https://arkbark.net
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