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ボランティアインタビュー

NPO法人部活ガンバの理事長森省三さんへのインタビュー

こんにちは! JAVOで学生ボランティアとして活動している浦野です。

今回は、NPO法人部活ガンバの理事長森省三さんに、お話を伺いました。福岡県の中学校・高校の部活動に関する情報発信や、大会の運営などを行っています。

HP:http://npo.bukatsuganba.com/

では、インタビュー内容をご覧ください!

1.活動内容

福岡県に特化した、部活動の情報サイトの運営を主に行っています。「部活ガンバ」という名前のサイトで、中学校・高校の部活動の大会情報や結果を発信しています。他にも、福岡県の中学校体育連盟(以下:中体連)と高等学校体育連盟(以下:高体連)などの公式サイトも運営しています。

「部活ガンバ」では県内各地区の情報を載せているので、先生や子どもたち、保護者の方々が自分の所属している地区以外の結果も見ることができます。大会結果を残すだけでなく、大会の要項や組み合わせを事前に掲載することもあります。「部活ガンバ」を通して、皆で情報を共有しているというイメージです。

活動は基本的に2人で行っています。事業型NPO法人であるため、サイト運営を中心とする活動は事業として利益をあげています。収益は、中体連・高体連公式サイト運営の契約料や、「部活ガンバ」のスポンサーとなってくださっている企業の広告掲載、ネットワーク広告費があります。

スポンサー企業は自分で集めたり、広告代理店の方にお願いしたりしています。広告代理店の方を始め、部活ガンバの活動に共感してくださった方々の協力で成り立っている部分も大きいです。

私が一番やりたかったのは、「部活ガンバ」による情報発信で、スポンサー探しに多くの時間を割きたくはありませんでした。その中で、広告代理店の方の協力をとてもありがたく思っています。

2.始めたきっかけ

NPO法人として発足したのは2013年ですが、活動は2006年から行っていてもうすぐ20年になります。元々中学校の教員をやっていましたが、部活動の情報発信をするために退職しました。

当時、部活動の情報はネット上にほとんどありませんでした。大会結果などが新聞に載る程度で、どこで何をやっているかなど詳しいことは顧問の先生に訊くくらいしかできません。そうした状況下でも子どもたちは頑張っているので、何か残したいと思いました。

教員時代は水泳部の顧問をしていて、大会の申し込みや結果を残すために部のホームページを作っていました。それを活かして、同じことを他の競技でもやろうと思い、部活ガンバの活動を始めました。

中体連の公式サイト運営を始める時は、先生たちもインターネット上で個人情報を発信していいか心配していました。ただ世の中では、だんだんと色々な公式サイトが生まれ、情報発信が必要になってきていました。最初はボランティアとして無料で始め、「あった方がいい」という声が大きくなりました。

それに伴って、県内の別の地区の中体連や高体連からもお声がかかり、現在の運営に繋がりました。今ではYouTubeチャンネルやラジオなど、他の活動にも広がっています。

「部活ガンバ」のアクセス数は、福岡県だけで年間1000万PVに届こうとしています。それだけたくさんの方が見てくれています。だからこそ、信頼性を落とさないためにも、間違った情報を掲載しないことを大事にしています。しかし、間違えて載せてしまうことや先生から届いた情報が間違っていることもあります。そうした時に、閲覧した保護者の方から教えていただくことがあります。

間違えたことはマイナスですが、「教えていただいてありがとうございました」という感謝にして返すようにしています。そうすると、相手の方からも「言ってよかった」とか「いつも見ています、ありがとうございます」と返事をもらい、《ありがとうのキャッチボール》ができるんです。間違えた時こそ、感謝を実感できると考えています。

3.始めた頃のお話

最初は、情報を集めること自体が難しかったです。しかし、教員時代の経験やネットワークが役に立ちました。というのも、教員時代に中学校の校務支援ソフトの開発をしていたことで、県内に私を知っている先生がたくさんいました。そうした先生たちに協力してもらって、顧問をしている部活動の情報を集めることができたのです。とはいえ、1年目の情報は今から考えるととても少ないものでした。

情報収集で一番大切なのは、先生たちとのネットワークです。福岡県内だけでも部活動の大会は数多く、2人だけで全てを取材することは不可能です。だからこそ、情報が集まる仕組みを作りました。それが中体連・高体連の公式サイトの運営でした。自然と私たちに情報が集まってきますし、先生たちとのネットワーク作りに繋がります。

今では、中学校の場合は、総合体育大会や新人大会の中体連主催の大会以外の結果も載せています。そのようにネットワークが広がったことで、気付けば20年という月日が経っていました。

また、教員だったこともあり、お金を稼ぐことも得意ではありませんでした。スポンサーも簡単に見つかるだろうと考えていました。しかしそう上手くはいかず、「これで食べていけるのか?」と不安となったこともありました。

貯えもあったので収益を得ることよりも、情報を発信して皆に知ってもらい喜んでもらうことに力をいれました。そのうち知名度も上がり、「見れてよかった」などの嬉しい言葉ももらえるようになりました。そうした反響を貰って、始めて良かったと改めて思ったんです。

4.やりがい

まずは先生、保護者、子どもたち色んな人たちから感謝の言葉をいただいていることです。そして、他にこれだけの情報を載せているサイトがないこともあります。日本中でも、ここまでやっているのは福岡県だけです。「部活ガンバ」には土日の大会の結果が、その日の夜や月曜日に載っています。これができるのは、先生たちとのネットワークがあるからこそです。

活動を始めて数年経つと、他の県の方などから「どうしてこんなことができるのか」と問い合わせをもらいました。その方たちがやりたかったことが、「部活ガンバ」ではできていると驚いている方もいました。

これができたのは、私自身が教員であったというネットワークと、大会運営をするなど先生たちの大変さを分かったうえで、そこに配慮した運営ができていることがあります。民間でやろうとすると、情報は集まってもそれをちゃんと発信して継続した収益を上げるのは非常に大変だと思います。

教員時代は水泳大会の運営に関わっていましたし、退職後も必ず参加しています。そこで集めた情報は、すぐに「部活ガンバ」に載せています。そこに行くと教員時代と変わらない生活があります。これも今の自分の楽しさになっています。

5.印象に残っていること

たくさんありますが、一つは活動を始めてから20年も経って、始めた当時に中学生だった子たちが先生になっていることです。引率で来ている先生から、「僕もガンバに載っていました」と声をかけられたこともあります。私自身の教え子の子どもが、載っていることだってあるんです。とても嬉しくなりますし、活動を続ける面白さでもあります。

もう一つは、仕事で会った人など部活動とは全く関係のない人でも「いつも部活ガンバ見てます」と声をかけてくれたことです。色々な所で繋がっているし、知り合いに「部活ガンバすごいですね」などと言ってもらえてと広がりを実感してます。

6.大変だったこと

2020年は、コロナウイルス流行による休校や対外試合の禁止などで「部活ガンバ」がある意味がなくなってしまった年でした。更新する情報がなくPVも大きく落ちて、スポンサーも離れてしまいました。現在でもスポンサー数は2019年より減少したままで、収益面が厳しくなっています。削らなければならない部分も増えましたし、2人でやるのもいっぱいいっぱいです。

スポンサーの皆さんは福岡県と縁があり、私達の活動を理解して応援してくださっている方がほとんどです。だからこそ、無理にお願いして獲得することに時間を使っていません。

ただ、2020年はサイトのリニューアルを行っていました。それまではPC用のサイトでしたが、スマホの普及に合わせてより見やすく、広告収益も上がるように改善していました。発信できる情報が少ないというマイナス面を、逆にプラスに捉えてその期間を使ってリニューアルができました。リニューアル中は不具合も起きやすくなるので、大会がない期間にできたのはある意味よかったと思っています。

リニューアルに注力したので、あえて新しいことはしませんでした。その中でも、先生たちと連絡を取って、コロナウイルス明けのことや今できることを相談していました。

7.今後の展望

今年は活動を始めて20周年という、節目の年です。教員を21年やっていたので、「部活ガンバ」を始める時も同じ期間は頑張ろうと決めていました。ここまで大きくなったので、今やめてしまうと先生たちが困ってしまいます。私も65歳になるので、いつまでもできるわけではありません。どこでやめるかというのも大事ですが、今のところは元気なうち、あと10年はやっていこうと思っています。

私が辞める時に代わりにやりたい人はいるかもしれませんが、これだけで食べていくのは大変なことです。先生とのネットワークを今ほど持てる人がいるかどうかも、分かりません。

そのため、今の目標は「健康にできるだけ長く続けること」です。もし、継続してくれる人がいるならば、しっかりと繋ぎたいです。ただ現時点では難しいと思っているので、やめると決まった時は3年くらい前に宣言をしようと考えています。

他の県でもやらないのかと訊かれることもありますが、「部活ガンバ」をできたのは私が福岡県の教員だったからです。九州全体でやることも考えていましたが、実際に始めてみてハードルの高さを実感しました。人口や情報を含めて福岡県をやれば、九州の半分はやったと考えています。

他県の中体連・高体連や各競技のホームページもこの20年で充実してきました。そのため、私たちは今やっていることを続けていって、部活動情報のまとめサイトという感じで今後もやっていきたいです。

8.伝えたいこと

思い立ったらやってみてください!

よく周りの先生たちから「よく思いきれましたね」と言われますが、これは私にしかできないと思ったんです。《これは必ず世の中の役に立つ》という信念で始めました。経済面など心配なことはありましたが、自分がやりたいこと・自分にしかできないことをやってみれば何とかなります。それに、必ず助けてくれる人がいます。

一生懸命に自分の好きなことをやってください。それに共感する人が必ず出てきます。そして、その人たちと「ありがとう」を言い合うと必ずいい方向に進みます。

実際に、私の周りはそういう人ばかりです。そのおかげで今の「部活ガンバ」があります。とにかく《行動に移すこと》と《感謝する》ことが大切です。

よければ、「部活ガンバ」も検索して見てみてください!

自分が住んでいる地区でもこんなことができないかな、というのがあればご相談ください。微力ながら力になりたいと思いますので、サイトを見てどんなことをやっているのか知ってほしいです。

部活動の地域移行などの問題もありますが、色んな人たちが頑張っています。部活動が日本の文化として定着し、成長した子どもたちも様々な場所で活躍しています。今の中学生・高校生たちはその卵です。色々な問題はあると思いますが、自分の地域の部活動を応援していただきたいです!

9.おわりに

インタビューは以上となります。

森さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!

自分も参加していた学校の部活動に関して、こんなに大きな活動が福岡県にあるとは知りませんでした。地元の部活動の現状についても調べてみようと思いました。皆さんも興味があればぜひ、「部活ガンバ」と自分の過ごす地域の部活動を調べてみてくださいね!

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