1. HOME
  2. ブログ
  3. ボランティアインタビュー
  4. 「グラウンドは子供たちの居場所」グリフォンサッカークラブ茂見栄伸さんへのインタビュー

JAVOメディア

~今と、明日とミライへ。~

ボランティアインタビュー

「グラウンドは子供たちの居場所」グリフォンサッカークラブ茂見栄伸さんへのインタビュー

こんにちは!JAVOメディアでインタビュー記事を担当しております吉村幸輝です。

 

今回は、グリフォンサッカークラブの茂見栄伸さんにインタビューさせていただきました。

茂見さんは福岡県を拠点とするグリフォンサッカークラブで、11年以上サッカー教室を開いてきました。勝負にこだわるのではなくて、サッカーの楽しさを知ってほしい。そんな茂見さんのこの活動への想いを聞かせていただきました。

 

1.勝負ではなく、楽しさを

―吉村:まず始めに、グリフォンサッカークラブの主な活躍内容を教えていただけますか。

 

―茂見:福岡県で幼稚園児から小学生を対象にサッカー教室をしています。場所は県内に5ヶ所あります。

 

―吉村:そもそも、この活動を始められたきっかけは何だったのでしょうか。

 

―茂見:きっかけというきっかけはありませんでした。23歳まで様々な仕事をしてきましたが、知り合いから「サッカーの指導者をやってみないか」と誘われて、気づいたら25年以上経っていました。たまたまこの仕事が、NPOの活動分野でした。天職のように感じた瞬間がありました。

 

―吉村:長いですね。

 

―茂見:長くなりましたね。

 

―吉村:長く活動をする中で、大変だなと感じることはありますか。

 

―茂見:大変と感じることはないですね。子どもとサッカーが好きなので。毎日、子どもたちに会うのが楽しみですね。

 

―吉村:グリフォンサッカークラブはサッカークラブではなく、サッカー教室というスタンスだと思うのですが、この活動で大切にしていることを教えてください。

 

―茂見:私個人もこの教室で指導する前は「試合に勝つこと」や「上手な選手を育てること」ということを意識している時期もありました。でも小学生年代って、遊びの延長でサッカーができる唯一のタイミングなんですね。そこでこの教室では、まずは「サッカーの楽しさを伝えること」を第一にしています。上手な子も、そうでない子も楽しむことができる居場所や環境になるようにしています。

―吉村:茂見さんの指導方針が変わって、子どもたちの反応に何か変化はありましたか。

 

―茂見:勝負にこだわるチームにくる子どもと、うちの教室にくる子どもは目指しているものが違うので、一概には言うことができません。ただ、うちの教室の子どもたちは居心地良さそうにしている印象がありますかね。

 

2.コロナ禍でも居場所づくりを

―吉村:一昨年から新型コロナウイルスが蔓延し、コロナ禍となりました。実際に、活動に与えた影響はありましたか。

 

―茂見:福岡県では4ヶ月グラウンドを使うことが全くできませんでした。1年の3分の1グラウンドが使えない。活動を制限されたのは痛かったですが、そこでスタッフ2人で色々と考え、SNS等で宿題を出すことにしました。サッカーの技術だけではなくて、クイズや謎解きを盛り込むことで、ステイホームで学校に行けない子どもたちの楽しみになればいいかと思って始めました。

 

また、昨年は多くの小学校で運動会が中止になったことを受け、グラウンドを管理している行政の方にも協力して頂き、独自に地域の方が参加できる運動会を開催しました。企画も運営も子どもたち主体でやってもらいました。今年は学校の方で運動会が開催されるようなので、うちではやりませんが、このように子どもたちから声が上がれば、実現するよう手助けするのがうちのスタンスですね。

 

3.地域教育としての役割

―吉村:HPを拝見したところ、家庭教育と学校教育に並ぶ3つ目の教育の柱である地域教育としての役割を強調されているように見られました。この地域教育を重視する理由はなんですか。

 

―茂見:おっしゃる通りで、家庭教育と学校教育と地域教育の3つの歯車で、子供たちをうまく成長させてあげられればと思ってやっています。子供たちの中には不登校で学校に行けない子どもや、習い事をほとんどしていない子どもがいるんです。そういった子には、居場所が家庭しかないんですね。それってかなり生きづらい環境だと思うんですよ。そこで、うちの教室がもう1つの居場所になればいいなと思っています。

 

―吉村:不登校になってしまっている子どもへの支援も行っているんですか。

 

―茂見:何人かそういう子どもがいますね。ある子はほとんど学校に行けてなくて、兄弟の下の子にも影響が出てしまっている。周りの大人も色々とアプローチはしているみたいですけど、少し言われすぎているように私には見えました。そこで、私はあえてほったらかしにしています。うちは習い事なので、来なきゃいけないわけじゃない。なので、来たくなったらいつでも来ていいよという姿勢で待っています。

 

また、ある2人組がいるんですけど、そのうちの1人が不登校だったんです。行っていない理由は聞いていません。でも、2人とも仲は良いみたいです。学校には行けないけど、うちの教室に来れば、仲の良い友達に会える。そういった居場所づくりをしています。

 

4.グラウンドは子どもたちの居場所

―吉村:他にも野外学習や礼儀作法学習などを行っていますよね。これは保護者の皆さんにとっても、有り難いのではないでしょうか。保護者の方々からの反応はいかがですか。

 

―茂見:他の団体さんに比べれば、保護者の方々ともコミュニケーションを取っている方ではあるとは思いますが、保護者の方々とはあえて距離を置いています。決して軽視しているわけではありません。何か問題があれば、話を聞いています。ただ、あくまでも子どもが主役の教室なので、子どもが楽しんでくれればそれでいい。それはブレないようにしています。

なので、活動中は保護者の方々には声がけも控えてもらっていますし、見学もネットの外でお願いをしています。グラウンドは子どもたちの居場所、子どもたちの世界ですから。

5.子供たちの成長した姿が

―吉村:茂見さんはこの活動を25年以上続けてこられたと思いますが、やりがいと感じることはなんですか。

 

―茂見:子どもの自立を目指してやっています。やりがいもたくさんありますが、その中でも卒業していった子供たちが、成長して、自立して、活躍した話を聞くのが一番嬉しいです。中学の部活で部長になったとか、生徒会長に選ばれたとか、何かの賞でうちの教室の生徒が何人も表彰されたとか。こういった報告をしてくれるのは嬉しいですね。その場でサッカーが上手になったところで、それが成功かどうかはわからないですよね。それよりも、将来どういう人間になるかが気になりますね。

 

あとは卒業生がスクールやイベントを手伝いに来てくれるのも非常に嬉しいですね。卒業しても忘れないでいてくれているってことですからね。それだけじゃなくて、スクール生にもいい影響がある。中学3年の卒業生がどこの高校に合格したっていう報告に来てくれることがあるんですが、スクール生はこの卒業生から、自分の数年後の姿をイメージしやすいと思うんです。これは高校生も大学生も一緒です。

 

―吉村:卒業生が協力してくれるのは嬉しいですね。最後に、この記事をみてくださった方々に伝えたいことはありますか。

 

―茂見:日本では、多くの皆さんは「ボランティアが大それたことである」と思っているのかもしれませんが、実際はそんなことはありません。もっと気軽で、身近なものなんです。なので、まずは地域の活動に参加してみてください。出身地域の方が入りやすいと思います。皆さんの力を地域に還元してあげてください。

 

取材・文 / 吉村幸輝

取材 / 高木理々花

 

 

プロフィール


茂見栄伸(しげみえいしん)

NPO法人グリフォンスポーツクラブ代表。熊本出身、1972年生まれ。前職を退職すると同時に2010年に福岡に移住し、グリフォンスポーツクラブを設立。「楽しいはゆずれない」をキャッチコピーに、現在は福岡県内に5ヶ所の教室を展開。

高校生・大学生・社会人のボランティア証明書発行はコチラをクリック
  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事