あひるの野外遺棄問題と向き合う、NPO法人あひるネットワークさんに取材!
本日は、野外に遺棄されたアヒルたちの調査・保護活動をしている「NPO法人あひるネットワーク」の理事長・岩瀬様にインタビューをしました!近年アヒルをペットして飼う人が急増中なんだとか。一方で、飼育方法がきちんと認知されず、問題も生じているようです。岩瀬様には団体のご活動から、未来に対する想いまでお伺いしました。
団体ホームページ:https://ahirunetwork.org/
岩瀬様の制作した絵本:公園に捨てられたあひる―シャク爺の物語
活動背景と目的「野生では生きていけない事実」
ー まずは、活動背景と目的はなんでしょうか。
私たちの団体では主に2つの活動を中心を行っています。
・遺棄されたアヒルの保護活動
・根本的にアヒルを捨てる人を減らすための広報活動
「アヒルをペットとして飼う?」と疑問をもつ方は多いのではないでしょうか。
実は、ここ10年程でペットとしてアヒルを飼育する人が増加しています。CMを見て興味をもったり、丸っこいかわいい姿に惹かれたりするなど、理由は様々ですね。
しかし「あひるは野生では生きていけない」という事実が周知されず、遺棄されるアヒルか発生しています。
アヒルは野鳥ではなく、元々食用に改良された動物なので走ることも飛ぶこともできません。「水鳥をおうちで飼うのはかわいそう…」と外に放しても、自然界で生きていけないんです。そもそもアヒルは鳴き声が大きくフンも多い、その上1日に複数回水浴びが必要と、お世話が大変な生き物です。ネットオークションで得た卵から飼育する人も多く、知識のないまま飼って破棄してしまうことも考えられます。
そんなアヒル達を保護すべく、そしてこの問題に向き合い解決するためにNPO法人あひるネットワークが生まれました。元々は初代理事長がアヒルが大好きで、ネット上でサークルを設立したことが始まりです。そんな中、アヒルの遺棄が増えているとの話を気にかけ、アヒル達を救いたいとの想いから誕生しました。現在もあひる好きメンバーが集まり、保護活動をしています。
ー アヒルの保護活動について、具体的に教えてくださいますか。
保護活動はとても大変です。一般的には、アヒルが捨てられている情報が入ったら、メンバー2人程で救助しに行きます。そして、1日中もしくは何日間もかかることがほとんどです。遺棄されたアヒルは弱っている場合が多く、道具を駆使して捕まえるわけではありません。アヒルが近づいてきたタイミングを見計らい、最後は人間の手で捕獲しないといけないんです。木に巻きつけたロープで体を固定し、池の水面間際で待機することもしばしば。
また、公園の池で活動していると、何をしているのか気になる人が多いようです。声をかけられ質問される際、保護のタイミングを逃してしまうことも(笑) 周りの方々のご協力も大切なんです。引き取ったあとは獣医に見せて健康状態を確認します。その後、団体の会員に呼びかけ受入先を探しますが、理事長のわたしが引き取ることもあります。
また、根本的な問題解決を測るため、アヒルはどういう生き物なのかを広める活動をしています。動物愛護団体のイベントに参加するなど、一人でも多くの方に知るきっかけをつくっていきたいです。
魅力や困難「命と向き合う大切さ」
ー 大変な活動がある一方で、やりがいや魅力はなんでしょうか。
ほっといたら無くなってしまう命を助けられることです。保護に成功しアヒルを胸に抱きしめた瞬間、この子が助かるという安堵と嬉しさで胸がいっぱいになります。本来なら幸せに生きれたアヒルが、衰弱しながら水中に沈んでいくアヒルを考えるだけで、本当に悲しいです。
ー 命を救うというご活動、本当に素晴らしいです。困難や難しさを感じる時はあるのでしょうか。
アヒルの生態と、わたしたちの活動をちゃんと理解していただくことでしょうか。やはりアヒル=野鳥のイメージをもつ方が一般的ですので、保護中に「公園のアヒルを虐めているのではないか。」「警察には届けているのか。」と疑問視される方も多いです。
もちろん時間をかけてお話しすればご理解していただけるのですが、保護中はできるだけアヒルの救助活動に集中したくて…。ちゃんとみんなに説明したくても、アヒルの命が優先というジレンマもあります。そのためにも、こうして一人でも多くの人に知るきっかけを届けて、保護活動を見守ったり参加したりする方が増えれば嬉しいです。
今後の挑戦「色んな方法で事実を広める」
ー 団体として、今後挑戦していきたいことはなんでしょうか。
アヒルは野鳥ではないこと。飼ったら最後まで育てる責任があるということ。その想いをもっと多くの方に広めたいです。その一つとして、公園に捨てられたアヒルを描いた「シャク爺の物語」をミュージカルにしたり、朗読会を開いたりしています。子供から大人まで聞きやすいですし、関心を持ってもらう機会を広げていくことが大切かなと思います。
あとは、団体としての維持費をどう確保していくか。保護後にかかる診断料だけではなく、治療が別に必要なアヒル達は薬代も発生します。せっかく助かった命、最後までちゃんと生きてほしいですし!
支援してくださる方々が増えるなど、もっと助かる命が増えるためにも広報活動を続けていきたいです。また、団体メンバーの年齢層が高くなりつつあるため、若いメンバーが増えたらいいなと思います。
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