「ボランティアを高く評価する社会」を読んで
「ボランティアを高く評価する社会」を読んで
企画・協力 堀田力+さわやか福祉財団
編著 松岡紀雄
1997年2月20日 第1版発行
注:『』は著作の文章、「」は著作の文章の抜粋
1.ボランティア社会への9つの要因
1990年代以降、経済は低迷を続け、国家財政も破綻間近となるなか、21世紀をボランティア社会にしていきたいという内容です。ボランティア社会が作られていく、9つの要因についてまずはまとめておきます。
「①高齢社会とボランティア:日本の男女がそろって世界の長寿国であることは喜ばしいことですが、急激な少子化が進んでいます。その背景には若者のお金不足、女性の高学歴化や仕事を続けたいという思い、晩婚化、医療の発達などがあります。個別にみれば素晴らしいことばかりですが、社会福祉などを考えると大きな問題となっていくことは間違いありません。これらを解決するには、北欧のように所得税は50%以上、消費税も25%以上とする税負担を受け入れるか、地域や家族が社会としてケアを行っていくかの二つしかありません。後者の担い手となり、人の繋がりを作っていくのがボランティア社会です。」
「②ノーマライゼーション:明治維新から高度経済成長期を通じて日本の経済・社会は生産性や経済効率を第一に追い求めてきました。そのため、高齢者や障害者、病人、あるいは言葉のハンディキャップを抱える外国人などへの配慮が足りなかったかもしれません。」このような状態というのは今後確実に是正されていくはずです。アメリカでも同性結婚が認められるようになっています。EUでもおもしろい条約が結ばれています。1997年のアムステルダム条約では、「知覚力のある生き物としての動物の、幸福の擁護と尊重を確実に推進するために、動物の幸福の要件に十分に配慮する」ことに同意するという宣言がなされました。これによって、養豚業者には2012年までに開放的な飼育小屋で飼うことが義務付けられています。EUの例は極端かもしれませんが、今後社会的ハンディキャップというのは埋められる方向に進み、その力としてのボランティアが期待されていると言えます。
「③企業活動のグローバル化:アメリカでは企業市民として、積極的な社会貢献が強く求められています。」私もアメリカの会社で働いていたときは、研修でもボランティアの時間があり、ボランティア推進の部署までありました。日本でもCSR(企業の社会的責任)という形で社会貢献がなされるようになってきています。
「⑤新たな生きがいを求めて、⑥高齢者を活かす社会:経済の成熟化に伴い、新たな生きがいを会社以外に求める人や、退職したけれどもまだまだ元気な高齢者の方がたくさんいます。」超高齢化社会になりつつあるアメリカでは定年退職者や高齢者を中心として、楽章・障害者・引きこもり自動などに社会的ボランティアを行う団体をアメリコー(AmeriCorps)として政府からの経済支援が行われることになりました。このように日本でも、エネルギーのある若者や、まだまだ働きたい意欲のある高齢者の力を最大限に活用することが、社会の活性化に繋がると考えます。
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2.ボランティア社会への課題
ボランティアの基本は善意や自発性ですが、それだけでは空回りになってしまいます。阪神淡路大震災や東日本大震災などで浮き彫りになった課題があります。
①ボランティアをする際のスキルや心構えの日常性。
②緊急時にも一般の不慣れなボランティアを受け入れて、より多くの人々の善意や行動力を活かす「仕組み」。
③『救援物資は第二の災害』これはアメリカで言われていることでもありますが、救援物資が多すぎることで、保管場所や消費、商店が復興した場合に物が売れないなどの問題が発生することが多々あります。アメリカでは『衣服や毛布だけではすべてをカバーすることはできません。あなたの小切手ならできます』というCMを流したりしているそうです。
これら3つの課題を解決するためにもJAPANボランティア協会は、2つの事業を行います。
Ⅰ.証明書発行事業によってボランティアの母数を増やし、日常の心構えやスキルの提案をします。
Ⅱ.ボランティア登録をすることで、個々のスキルや経験を把握し、より良い場所にボランティアしてもらう提案をすることができます。
JAPANボランティア協会(JAVO)が行うのはあくまで「提案」であり、ボランティアの自発性を損なうような強制は行わず、皆様の善意が隅々まで行き届くような社会を作りたいと考えています。
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