カップラーメンとサステナビリティ ―日清食品の取り組みを中心に―

こんにちは!JAVOメディアライターの近です。
私たちの生活に深く根付いた食品の一つにカップラーメンがある。手軽で美味しく、災害時の備えとしても活用されるこの便利な食品だが、その背景には環境や社会への影響も少なくない。カップラーメンの生産・消費が持続可能なものとなるためには、企業と消費者がともに意識を高めていく必要がある。本稿では、カップラーメンとサステナビリティの関係について考察し、即席麺のリーディングカンパニーである日清食品の取り組みを紹介することで、今後の課題と展望を明らかにしたい。
1. カップラーメンの環境負荷
カップラーメンが環境に与える影響は主に三点ある。
第一に容器の問題である。従来のカップ容器には発泡スチロールやプラスチックが用いられており、廃棄時にはCO₂の排出や海洋ごみの原因となる可能性がある。
第二に生産・輸送過程でのエネルギー使用が挙げられる。製造には揚げや乾燥など多くのエネルギーを要し、国内外の物流にも化石燃料が使われるため、全体としての環境負荷は無視できない。
第三に食品ロスの問題がある。大量生産・大量消費の仕組みの中で、賞味期限切れなどによる廃棄も発生しており、資源の無駄が課題とされている。
2. 日清食品のサステナビリティへの取り組み
こうした課題に対し、日清食品は以下のような施策を展開している。
2.1 環境配慮型容器の導入
同社は近年、植物由来のバイオマス素材や紙製カップを用いた新しい容器の開発を進めており、すでに「カップヌードル」シリーズなど一部商品では実用化が始まっている。これにより、石油資源の使用を減らし、焼却時のCO₂排出量も抑えることが期待されている(1)。
2.2 再生可能エネルギーとCO₂削減目標
製造工場では再生可能エネルギーの導入や省エネ設備の導入が行われており、グループ全体として「2030年までに2018年比でCO₂排出量30%削減」という中期目標を掲げている(2)。
2.3 持続可能な原材料の調達
同社は、パーム油の調達において「RSPO認証」を受けたサプライヤーを採用し、森林破壊や児童労働といった社会問題への配慮を示している。また、魚介類や畜産品についても、倫理的かつ持続可能なルートからの調達方針を強化している(3)。
2.4 食品ロス削減と副産物の活用
賞味期限の見直しや物流の最適化による食品ロスの削減に加え、製造過程で発生する副産物を飼料や肥料として再利用する取り組みも行われている(4)。
3. 消費者の役割と今後の課題
サステナビリティの実現は企業だけの努力では達成できない。私たち消費者一人ひとりが、環境に配慮された商品を選んだり、正しい分別を心がけたりすることが、企業の取り組みを後押しすることにつながる。
一方で、バイオマス素材のコスト負担、価格競争の激化、再エネ供給の不安定さなど、企業側の課題も残っている。サステナビリティをより広く実現するためには、社会全体での協力と制度的支援も重要である。
おわりに
カップラーメンという身近な食品においても、サステナビリティを意識することは不可欠である。日清食品は、容器の見直し、再生可能エネルギーの導入、持続可能な調達、食品ロス削減といった多角的な取り組みを展開しており、業界全体の変革にも影響を与えている。今後は、こうした企業の努力を受け止める形で、消費者としての選択や行動も問われる時代である。未来の地球を守るために、企業と消費者が共に歩む道を模索することが求められている
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参考文献
1. 日清食品株式会社「カップヌードルの紙容器化に関するプレスリリース」2021年9月
https://www.nissin.com/jp/news/10034
2. 日清食品ホールディングス株式会社『統合報告書2023』
https://www.nissin.com/jp/sustainability/report/
3. 日清食品グループ『サステナビリティデータブック2023』
https://www.nissin.com/jp/sustainability/databook/
4. 日清食品「食品ロス削減への取り組み」
https://www.nissin.com/jp/sustainability/environment/foodloss/
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