‐奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」-を読んで
‐奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」-を読んで
中原一歩著
2011年10月30日第1版発行
朝日新書
概要
「ボランティアが被災地の負担になる」.そのような話で震災直後の東京はもちきりになった.実際ボランティアの受け入れを断ったり,少人数に限定して受け入れた自治体も少なくない.そんな中で石巻市はわずか半年で6万人ものボランティアを受け入れた.ボランティアの力が被災地復興には欠かせない要素であることは間違いない.
成功要因は3つ.
・ボランティアを受け入れる仕組み.
・ボランティアにとって居心地の良い環境作り.
・ボランティアを継続的に募集するノウハウ.
東京でのボランティア説明会を開催し,現地の情報を細かく伝え,最長で7泊8日までのボランティアに絞った.ボランティアの精神的負担を軽減し,継続的に行うためである.また,「自己責任」「自己完結」の徹底を促すためでもある.
ボランティアに申し込むには二つの方法がある.社会福祉協議会(社協)に申し込む方法と,NPO法人に申し込む方法だ.社協の場合全国にネットワークを持ち,相互補完が可能な一方で,公的機関のため動きが遅く,復興の要請を受けてからしか動けない受動型となってします.NPO法人は公平性がない半面,動きが早くニーズを自ら見つけ出しに行く能動型だ.震災直後は公平性よりも,とにかく素早く動くことが大切で,そうしないと食糧不足や環境汚染など二次災害につながりかねない.
NPO法人それぞれがばらばらに活動するのではなく,活動報告をする場所を設けた.しかも,NPO法人ごとの活動ではなく,「活動目的」ごとに報告するようにしたことで,どの地域にどの物資が足りなくて,その解決方法を一元化することができた.
大学を活動の拠点にしたことで,自然と大学の生活ルールなどに従う雰囲気ができた.もともとボランティアという自発性が強い団体であるので,仕切られることを嫌う.大学のルールに従うという自然発生的なボランティアのルールが,大学以外のボランティアで発生する酒を飲んで暴れるボランティアがいるなどの問題を発生させなくて済んだ.
テント村と作業場が離れていることもプラスに繋がった.作業しなければいけないオンと,日常生活のオフをうまく使い分けるためのバス通勤となり,ボランティアにもリフレッシュする時間ができた.また,毎日のバスから眺める風景が刻一刻と復興に繋がっていくことは,ボランティアのモチベーションアップにもつながった.
ブリジストンもすぐにボランティアを行った会社の一つ.1.本当に被災地の役に立つのか.2.業務への支障はないのか.3.社員の安全はどのように守るのか.
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